日本の回転寿司は世界でも人気なのか。寿司にまつわるビジネスに詳しいながさき一生さんは「日本の大手回転寿司チェーンは、国内で培った高い技術とオペレーション力を武器に、それぞれの地域文化をうまく取り入れながらグローバル展開を加速させている」という――。

※本稿は、ながさき一生『最強の寿司ビジネス』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

テーブルいっぱいに並んだマグロ中心の回転寿司の皿
写真=iStock.com/Chihiro Oda
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日本の寿司屋が海外で「独自進化」

日本にいればいつでもどこでも目にする回転寿司。今となっては世界のどこにいても目にするグローバルフードとなりました。

東南アジアでは屋台感覚で親しまれ、アメリカではデリバリーやスーパーの惣菜コーナーで日常的に食べられ、ヨーロッパではテイクアウトや宅配の定番メニューとして定着しています。

国や地域ごとに食べ方も味の傾向も異なりますが、それぞれの社会に合わせて寿司がローカライズされている点にこそ、現代の食文化の多様性が表れています。単なる「日本食の輸出」ではなく、現地の特色と融合し、新たな可能性を拓いています。

その背景には、日本の寿司チェーンが築いてきた効率的なオペレーション技術と、鮮度、清潔さへのこだわりが世界の都市で受け入れられたことがあります。

日本の代表的チェーンであるスシローやくら寿司は、現在アジアやアメリカ、ヨーロッパなどで店舗を拡大しています。日本経済研究所の話によれば、それらに加えて各地で独自に発展してきた寿司チェーンが数多くあります。

寿司は「モダンなライフスタイルの象徴」

例えば台湾では「争鮮(Sushi Express)」が圧倒的な存在感を持ち、全国に300店舗近くを展開しています。

台北の地下鉄構内やショッピングモールの一角にも多くの店舗があり、一皿30台湾ドル(約150円)からという手頃な価格で気軽に楽しめる“国民食”として定着しました。

清潔で効率的なシステムを取り入れながら、現地の人々の嗜好に合わせたメニューを展開している点が特徴です。

マレーシアでは「Sushi King」が約130店舗を展開し、ハラール認証を取得することでイスラム圏でも安心して食べられる寿司を提供しています。寿司という日本の食文化を、宗教的価値観と共存させることで新たな市場を開拓している点が注目されます。

シンカポールでは「Midori」などの日本以外のブランドに加え、スシローやくら寿司といった日系勢も進出し、多民族社会ならではの激しい競争が繰り広げられています。

ここではサーモンやアボカドなど、西洋食材を積極的に取り入れた“国際寿司”が主流となっており、寿司が文化の交差点となっていることがわかります。

インドネシアでは現地日系人オーナーによる「Sushi Tei」が高級モールを中心に展開し、落ち着いた空間と安定した味で中間層・富裕層に支持されています。

東南アジアにおける寿司は、単なる「日本食」ではなく、「都市的でモダンなライフスタイルの象徴」として機能しているのです。