自由でカラフルな盛り付けも許される
オセアニアでは、オーストラリアの「Sushi Train」がその象徴です。1993年に創業され、現在では約50店舗を展開しています。店名の通り、回転レーンを列車に見立てた親しみやすい演出が人気を呼び、健康的で手軽なランチとして定着しました。
オーストラリアでは、寿司がヘルシー志向の食生活と結びつき、“ファスト寿司”という新しいカテゴリーを築いたといえます。
アメリカでは、くら寿司をはじめとする日系チェーンが急速に店舗を拡大していますが、同時にスーパーの寿司コーナーやデリバリーサービスも充実しています。家族や友人が集まる「寿司パーティー」も人気で、寿司は“特別な外食”から“日常の共有食”へと変化しました。
ここでは日本的な繊細さよりも、自由でカラフルな盛り付けやボリューム感が重視され、エンターテインメント性のある料理として再解釈されています。
ヨーロッパでは、イギリスの「YO! Sushi」がテイクアウトのスタイルを広め、フランスの「Sushi Shop」は、フランス人オーナーがアメリカのカリフォルニアロールを食べ感動したことから始まり、ピザやハンバーガーと並ぶデリバリーの定番となりました。
寿司はもはや高級食ではなく、都市のライフスタイルにかせない“定番フード”として根づいているのです。近年では日本のはま寿司を運営するゼンショーグループやスシローも欧州展開を強化しており、寿司のグローバル競争は新たな局面を迎えています。
寿司は世界共通の食文化だ
このように世界の寿司チェーンを俯瞰すると、地域ごとに異なる文化や価値観が反映されていることがわかります。
日本から発信された寿司は、現地の宗教、食習慣、生活リズムと結びつきながら多様に姿を変え、もはや日本のものだけではなく、各地の人々によって育まれた“共有の食文化”になっています。
この多様性こそが寿司ビジネスの身大の特徴であり、強みであると言えるでしょう。日本の技術と理念を軸に、各国の価値観や生活様式を取り込むことで、寿司は“世界語”のような食文化になりつつあります。
次節では、このグローバルな広がりを支える日本の寿司チェーンの取り組み、特にスシロー未来型万博店や「GENKI SUSHI×魚べい」が展開する「世界のネタ」を通して、寿司の未来像について考察したいと思います。

