実家の老親の免許返納の判断はどうすればいいのか。佐賀大学ライフロングモビリティ研究・支援講座の堀川悦夫特任教授は「運転能力は年齢で決まるわけではない。年だからと返納を切り出す前に家族だからこそできることがある」という――。

※本稿は、堀川悦夫・楠田悦子『免許返納を10年延ばす70歳からの運転学』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

ハンドルを握るシニア
写真=iStock.com/Deagreez
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「もうトシなんだがら、運転をやめて!」とは言わない

高齢の親や祖父母の運転について考えるとき、頭ごなしに「危ないからやめてほしい」と言ってしまいがちです。

特に逆走やペダルの踏み間違いは、高齢者の代表的な事故として報道されたりSNSで話題になったりと、不安を強める要因になっています。しかし、こうした事故は必ずしも高齢者特有のものではありません。

「高齢者なんだから」「××歳になったんだから」と単純に捉えるべきではありません。

たとえば高速道路での逆走事故を年代別に見ると、30代から50代といった比較的事故が少ないとされる年代でも、高齢者の半分近い件数が発生しているデータがあります。

ペダル踏み間違い事故についても、統計上は70代・80代に多く見られますが、20代でも一定数発生しています。

ここでお伝えしたいのは、親の年齢が上がったことだけを理由に、直ちに危険と判断するのは子・孫としてやめましょうということです。

親に返納を迫る以前に、一緒に確認してほしいこと

家族として大切なのは、感情的に運転を否定することではなく、「どのようにすれば安全に運転を続けられるか」という視点で関わることです。

【図表】“ポジティブ言葉”で上手に向き合おう
出典=『免許返納を10年延ばす70歳からの運転学』(プレジデント社)

たとえば「ペダルの踏み間違い」。米国の高速交通安全管理局が以下のような具体的なアドバイスをしています。

「シート、ミラー、ハンドルを適切に調整する」「ブレーキペダルの中心を踏む習慣をつける」「駐車時はエンジン停止まで気を抜かない」「運転に適した靴を履く」です。

こうした安全運転のためのポイントを子や孫が一緒に確認していくこと、その姿勢こそが大切だといえます。

自動車の運転では、とっさにブレーキを踏む、事故回避のためにハンドルを切るといった行為が、安全を左右します。

衝突事故では、わずか1センチ手前で止まれれば事故にならず、少しでも接触すれば事故になります。

こうした操作力を客観的に測ることは簡単ではありませんが、運転シミュレータなどを用いることで一定の評価が可能です。ぜひ機会を見つけて、シミュレータのある自動車教習所や免許センターなどの利用を促してください。