時間をかけてじっくり資料を読んでも、成果につながらないことが多いのはなぜなのか。人材研修会社チェンジ社長の野田知寛氏は「『情報の海』に溺れて目的を見失わないためには、『やらないこと』を決めることが何より大切だ」という――。

※本稿は、野田知寛『仕事ができる人のアウトカム思考』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

ハードワークで疲れ果てて寝落ちしている学生
写真=iStock.com/shadrin_andrey
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仕事における「読む」は読書とは違う

皆さんは、本やニュース記事などを読むことは好きでしょうか。紙の本を好む人もいれば、スマートフォンで記事を読む人もいるでしょう。最近では、SNSのタイムラインを眺めることも「読む」に含まれるかもしれません。

いずれにしても、私たちは毎日、相当な量の文字情報に触れています。インターネット、チャット、メール、社内資料、ニュース、SNS。文字を読まない日はないと言っても過言ではありません。

ただし、ここで一度立ち止まって考えてほしいのは、仕事の文脈における「読む」とは、何を意味しているのかという点です。

ここでいう「読む」は、読書ではありません。知識を増やすことでも、教養を深めることでもありません。

仕事における「読む」とは、情報を探し当て、それを読み取り、自分のアクションにつなげることです。

つまり、「読む」は作業であり、成果物に向かうためのプロセスの一部です。ここをはき違えると、「たくさん読んだのに、仕事が進まない」という状態になります。

読むこと自体が目的化するのはNG

情報を読むこと自体が目的ではありません。探し当て、読み解き、アウトプットにつなげる。これが、ビジネスにおける「読む」のゴールです。

ところが、現場ではよくこんな状態に陥ります。

調べているうちに、「何のために調べていたのかわからなくなる」。
記事を読んでいるうちに、「勉強になった」で終わってしまう。
資料を読み込んでいるうちに、「時間だけが過ぎていく」。

これらはすべて、読むこと自体が目的化してしまった状態です。

目的意識、相手意識、コスト意識は何か?

こうならないために必要なのが、目的意識、相手意識、コスト意識の3つの意識です。特に「読む」において最も重要なのは、コスト意識です。

情報の海は無限です。生成AIを使えば、いくらでも深掘りできます。

「この業界について教えて」「もっと詳しく教えて」「別の観点からも見て」――こうした問いに対して、ツールは延々と答え続けてくれます。

しかし、それが最終的に成果物につながっていくかというと、大半はつながらないのです。

目的から逸れたまま、情報収集だけが続いてしまう。
これが、読むという行為の最大の落とし穴です。