※本稿は、加藤和則『血管細胞を強くすれば熱中症は予防できる 熱中症やヒートショックに強い身体に変える3つの成分』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
なぜ、太陽の下にいるだけで疲れるのか
熱中症対策を考える場合には「熱」だけでなく、「光・紫外線」への対策がいかに重要かという観点も、ぜひお伝えしておきたいと思います。
夏の日中、外に出ているだけでものすごく疲れた、という経験はどなたにもあるでしょう。あの疲労感は、気温の高さだけでは説明できません。光の影響が非常に大きいのです。
熱中症といえば気温とWBGT(暑さ指数)に注目が集まりますが、同じ気温であっても、直射日光の下にいるのと日陰にいるのとでは、身体が受けている負荷はまるで違います。その差を生んでいるのが、光です。
赤外線は温度を上げ、紫外線は炎症を起こす
太陽光が身体の表面に直接当たると、二つのことが同時に起こります。
一つは、太陽光に含まれる赤外線によって、体表の温度が上昇することです。空気の温度とは別に、光そのものが身体を直接温めてしまいます。
もう一つは、紫外線が細胞にダメージを与え、炎症を引き起こすことです。日焼けというのは、皮膚で炎症が起きている状態にほかなりません。
問題は、この二つが重なることです。熱ストレスと光ストレスが同時に加わることで、ダメージが増強されて、より深刻なものになります。細胞は、熱と光の両方によって傷んでいるのです。
これまで本連載でお話ししてきたように、熱中症の重症化のカギを握るのは、血管の内側を覆う血管内皮細胞です。その細胞に、熱と光という二つのストレスが同時にかかっている。そう考えると、炎天下での作業や運動がなぜこれほど危険なのかが、あらためて見えてきます。
日傘が涼しい意外な理由
日傘を差すと、涼しさを感じます。多くの方は「日陰に入って気温が下がったから」と考えていると思います。
もちろんそれもありますが、本質はそこだけではありません。日傘の下では、熱のストレスと光のストレスの両方が身体に当たっていない状態になります。細胞としても、光の炎症ストレスと熱ストレスが同時に軽減されているのです。
帽子でも頭頂部は守れますが、覆える面積は限られます。ハンディファンは風によって汗の気化を助けてくれますが、光そのものを遮ることはできません。むしろ気温が体温を上回るような環境では、熱い空気を身体に吹き付けることになりかねません。
その点、日傘は上半身を丸ごと日射から切り離すことができます。100円ショップでも手に入るような、ごく身近な道具です。それでいて、熱と光という二つのストレスを同時に減らせるという意味で、非常に効率のよい対策なのです。


