なぜウクライナは、軍事大国ロシアの猛攻を受けながら持ちこたえているのか。戦局を支えているのがドローンだ。評論家の宮崎正弘さんは「ロシア軍の標的を破壊・損傷させた戦果の8割をドローンが占め、年間生産量は300万~600万機に達する。かつて欧米から武器をもらう側だったウクライナは、いまや米国から輸出を求められる“ドローン大国”に変貌した」という――。(第2回)

※本稿は、宮崎正弘『次の戦争を人間が決めない日』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

雲の上を飛ぶドローン
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ドローンを「売る側」になったウクライナ

ロシアのウクライナ侵攻開始後、欧米はウクライナへの膨大な武器供与を開始したが、長距離ミサイルなどは厳重に規制した。ウクライナにはミサイルではなく、ドローンを供与せよと言っていた。しかし開戦から5年後、欧米はウクライナからドローンを輸出してもらおうということになったのだ。主客逆転である。

とくにトランプ政権はイラン攻撃によりミサイルの在庫が底をつきそうである。くわえてドローンが決定的に不足していた。ひそかにゼレンスキー大統領に打診し、ドローン輸出を要請したという。この商談は100億ドルから300億ドルになると予測される。

現在、ウクライナの防衛製造における主要パートナー国は、英国(空中および海上ドローン)、ドイツ(砲弾、防空システム、装甲戦闘車両)、ノルウェー(ドローンとスマート兵器)、チェコ(迎撃ドローンと防空)、デンマーク(砲兵システム)で、ウクライナ政府は2026年末までに欧州諸国、とくにバルト三国と北欧諸国に10カ所の輸出センターを設立する。ドローンの輸出に力点を移すのだが、現地生産も軌道に乗り、すでに英国では生産を開始、2026年3月にはドイツでもウクライナ製ドローンの生産が開始される。

戦果の8割を稼ぎ出す

ロシア軍優勢と言われたのは2025年初頭までで、ウクライナが奇跡的にレジリエンス(回復力)を発揮している。戦局を変えたのはドローンである。まさに戦争は発明の母だ!

現在、ウクライナの年間ドローン生産量は300万〜600万機といわれる。ロシアの兵器などの標的を破壊もしくは損傷させたうちの80%はドローンによる。

とくに特殊ドローン部隊は「マディヤルの鳥」と言われ、その戦果を称えゼレンスキーは部隊関係者を表彰したという。

ウクライナは2026年中には700万機のドローンを生産すると豪語している。じつに450社以上のドローン関連企業が活動している。

このドローン大国への変貌に、欧米の防衛企業や投資ファンドが注目した。2026年2月、ゼレンスキーはウクライナの武器輸出を正式に承認した。ウクライナはもはや中国の技術を必要とせず、独自の改良で「ドローン大国」となったのだ。