爆発的に売れている日本製ゲームの正体
開発者はたった2人、制作期間はわずか2カ月、そして宣伝費はゼロ。こうした限られたリソースの下でリリースされたゲームが、売れに売れている。
日本のインディーゲーム開発者が今年6月に世に送り出したPC向けかくれんぼゲーム、『めっちゃカメレオン』だ。発売から1カ月足らずで世界計1500万本を売り上げた。英PCゲーム専門誌のPCゲーマーは、売上総額が推定約6000万ドル(約98億1000万円)に達すると分析する。
英ゲーム情報サイトのゲームズレーダー+によると、ゲームアナリストのダニエル・アフマド氏は本作を、2026年において「最多本数を販売し、最速でそこに達したゲーム」と評した。
コンセプトを一言で表すなら、いわば「塗り絵×かくれんぼ」の新感覚ゲームだ。
公式ページの言葉を借りるなら、「隠れ方がちょっと特殊」。真っ白なボディーに絵を描き込み、ステージのどこかに擬態する。プレイヤーは「隠れる側(ハイダー)」と「探す側(シーカー)」に分かれ、マルチプレイヤー対戦に興じる。
入念に描き込んで、壁に掛けられた絵画の中に紛れるも良し。敢えて雑に塗って、鬼の裏を掻くも良し。高く登り、見上げなければ気づかない看板の隅に擬態するも良し――。限られた時間で準備を済ませたら、あとは近くに迫る鬼を息を殺してやり過ごす。絶妙にスリリングなゲームプレイが持ち味だ。
ゲーム配信者が夢中になる「絵の攻防」
米ゲーム・エンタメメディアのIGNも取りあげたように、『めっちゃカメレオン』は配信者たちの間で爆発的な人気を集めている。背景と見分けがつかないほど巧みな絵を描くプレイヤーと、怪しい「絵」を見破ろうとする鬼。その攻防に、配信画面の向こうの視聴者も引き込まれ、瞬く間に話題となった。
かくれんぼ型の対戦ゲームは、ゲームの世界で長い歴史を持つ。FPS(一人称視点のシューティングゲーム)でもMod(非公式の拡張機能)として2000年代から遊ばれてきた。『めっちゃカメレオン』も同じかくれんぼ型だが、仕組みを大きく作り替えた。
従来のように開発側が用意した小道具にそのまま変身するのではなく、プレイヤーが自らブラシを手に取り、自分の体を塗る。何に化けるかは、すべて腕前と発想次第だ。
『めっちゃカメレオン』はPC向けゲームの配信プラットフォーム「Steam」で、専用タイトルとして6月10日に発売された。
アメリカ向け価格は1本5.99ドル(約980円)という低価格も追い風となり、シンガポールeスポーツ情報サイトのゴスガーマーズによると、販売数は16日間で1000万本を突破している。販売数の加速は驚異的で、700万本から1000万本までわずか4日で記録を伸ばした。
いわゆる「AAA(トリプルエー)」と呼ばれる大作の実績をも上回るハイペースだ。同誌は、カプコンのバイオハザードシリーズ最新作『バイオハザード レクイエム』がシリーズ最速ながら700万本到達に2カ月弱を要し、パールアビスの『紅の砂漠』も600万本達成に約3カ月かかったと指摘する。

