『マリオカート』の2.7倍売れた

『めっちゃカメレオン』と同じく6月に発売された任天堂のスイッチ2向けソフト『マリオカート ワールド』は、1カ月弱で世界合計563万本(本体同梱版含む)が売れている(任天堂公式資料より)。これも大変な勢いだが、『めっちゃカメレオン』はその約2.7倍の数のファンに届いた計算だ。価格こそ国内価格790円であり対等な比較は難しいが、話題性の高さを証明するかのようだ。

日本発のインディーゲームだが、主な購入者は海外のプレイヤーだ。7月27日時点で寄せられているレビュー全7万5594件のうち、日本語によるレビューはむしろ617件と少数派であり、海外熱の高さが窺える。過去30日間に世界から寄せられたレビューの89%が肯定的評価であり、「非常に好評」の判定を獲得している。

PCゲーマーは、割引価格だった初週の売り上げが限定的であったことから、大半は定価で購入されたと推定。1000万本時点での売上総額を、推定約6000万ドルとしている。その後、販売本数が計1500万本を突破していることから、定価で単純計算すれば9000万ドル(約147億円)規模に達する。

なお、Steamの手数料は通常30%だが、売上が5000万ドル(約81億8000万円)を超えると20%に下がる仕組みがあり、同作はすでにこの水準を超えた可能性が高いという。

爆発的人気の影にあった不遇の時代

輝かしい成功を収めた本作だが、そこへ至るまでの長い助走があったことは、世間にあまり知られていない。

ゲーム業界関係者のジョン・ハンソン氏はリンクトインへの投稿で、『めっちゃカメレオン』がヒットした経緯について、「2カ月で作って一夜で爆発したのではない」と分析する。「長年の静かな作業が、一度にすべて報われたのだ」

ハンソン氏によると、開発者の2人は製品の発売に踏み切る前に、18カ月の準備期間を設けていた。舞台に選んだのは、人気バトルロイヤルゲーム『フォートナイト』内でプレイヤーが自由にゲームを設計・公開できる「クリエイティブ」モードだ。多くのプレイヤーが集まるこの実験場で、コアループ(ゲームの根幹となる遊びのサイクル)を試作・検証した。

こうした検証と並行して、2人は2年間で5本のゲームをリリースしている。最大8羽のペンギンが協力して橋を完成させる『LINK Penguins』、大ヒットしたインディーゲーム『8番出口』ライクな『8ペン出口』などだ。米ゲーム市場分析ニュースレターのゲームディスカバーコ・ニュースレターは『LINK Penguins』の販売本数を約5000本と伝えるなど、いずれもヒットには至らなかった。

『LINK Penguins』キャプチャ
出所=Steamストア『LINK Penguins』

だがハンソン氏は、これらをすべて「練習」だったと評する。台湾AIニュースサイトのビッゴ・ファイナンスも、既存ジャンルに独自のメカニクス(遊びの仕組み)を組み込んでプレイ体験を一変させるという設計方針が、前作群に一貫していたと指摘しており、同じ見解だ。