良質な睡眠をとるにはどうすればいいか。脳研究者の澤田誠さんは「睡眠中、脳は不要な記憶を整理し、感情を安定化させ、認知症の原因物質まで排出している。この掃除が十分に行われるには、寝る時の姿勢が重要だ」という――。

※本稿は、『科学的根拠で証明する上手な脳の使い方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

寝室
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眠っている間に頭の中は整理整頓されている

睡眠には役割の異なった2種類のタイプ(ノンレム睡眠/レム睡眠)があります。

私たちが日中に経験した出来事は、まず海馬に一時的に保存されます。海馬は「仮のメモ帳」のような役割を持ち、情報を素早く記録する一方、長期保存には向いていません。

この情報を安定した記憶として残すためには、大脳皮質へ情報を移し替える必要があります。この過程が最も活発に行われるのが、深いノンレム睡眠です。

ノンレム睡眠中、海馬では特殊な神経活動が起こり、覚醒中の経験が時間を短縮した形で再生されます。動画の「早送り」のようなイメージです。

このとき、大脳皮質での活動と視床に起こるリズム的な神経活動がタイミングよく同期します。この同期によって、海馬から大脳皮質へ情報が一方向に伝えられ、情報が安定して長期記憶として固定されていきます。

一方、レム睡眠でも脳は活発に働き、同じように記憶の情報を担う神経活動の再活性化が起こります。しかしレム睡眠では、海馬と大脳皮質の安定した同期が弱く、正確な情報を写し取るような転送には向いていません。

その代わり、記憶同士を組み合わせ直したり、感情との結びつきを調整したりする働きが強いと考えられています。

また、このとき脳内では「シナプスの刈り込み」と呼ばれる、不要なシナプスの排除が行われています。

起きている間は、新しい刺激によってシナプスが強化されたり新しいシナプスが形成されたりしています。その結果、脳全体の情報処理の効率が落ちるばかりでなく、不要な情報が記憶として残ってしまい、正しい判断ができなくなってしまいます。

そこで睡眠中にこのシナプスを適度に弱めたり、不要なシナプスを排除して必要な回路だけを残すことで、翌日の集中力や注意力を保っているのです。