アルツハイマー病の原因物質も掃除される
私たちが起きて活動している間、脳では情報処理の副産物としてアミロイドβや乳酸などの老廃物が生まれます。
これらの物質は正常な神経活動の障害となってしまい、悪くすると神経細胞の死滅を誘導して認知症のリスクが増大します。特にアミロイドβはアルツハイマー病の原因物質と考えられているため、脳から排除されなければなりません。
しかし脳には、体のリンパ管のような排水設備がほとんどありません。
そこで代わりに働くのが、脳脊髄液が血管の周囲や神経細胞のすき間を流れて老廃物を運び出す「グリンパティック・システム」と呼ばれるメカニズムです。
このしくみが最も効率よく働くのは、深いノンレム睡眠のときです。
ノンレム睡眠では、神経細胞の活動が一斉に活動したり静まったりします。この一斉に鎮まったときに、細胞がわずかに縮みます。その結果、細胞と細胞の間の隙間が広がり、脳脊髄液が流れやすくなります。
脳脊髄液の流れの方向は「動脈側の毛細血管→静脈側の毛細血管」の一方通行なので、これによって一方向の流れができ、老廃物の排出が起こります。
老廃物が溜まりにくい寝るときの姿勢
ここで重要なのが、寝る姿勢と呼吸です。動物を用いた研究から、仰向けよりも横向き(側臥位)で寝たほうが、老廃物の排出口である静脈の流れが妨げられにくく、洗浄効率が高い可能性が示されています。
また、睡眠中のゆっくりと安定した呼吸は、頭の中の圧を周期的に変化させ、脳脊髄液を揺らすポンプの役割を果たします。
逆に、睡眠不足や呼吸が乱れる状態では、この掃除が十分に行われません。
結果として、集中力や記憶力が落ち、長期的には脳の健康にも影響すると考えられています。
このように、睡眠は単に体を休めるだけでなく、脳の健康とパフォーマンスを維持するための「必須のメンテナンス時間」です。日々の睡眠をしっかり確保し、脳のクリーニングを促していきましょう。
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