定年後も働き続けるために、何を準備すればいいのか。経済ジャーナリストの荻原博子さんは「資格を取ろうとする人は多いが、苦労して取っても安心はできない。本当に必要なものは意外と会社の外にある」という――。(第3回)

※本稿は、荻原博子『定年後のお金の悩み、解決します』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

オフィスでメンテナンスをする男性
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

一度取れば一生役立つ「実務資格」

今まで行ってきた業務の延長線上に専門的な資格があるなら、それはぜひとも取得しておくべきです。

例えば、不動産業界で働いている人なら、宅地建物取引士の資格を取っておくと有利です。事務所の従業員5名につき1名以上の割合で配置することが定められているので、求職の際に採用されやすくなるというメリットがあります。

旅行関係であれば、旅行業務取扱管理者を取得しておきたいものです。これも、各営業所に配置することが定められています。このように、現場で必要とされる資格は一度取得しておけばずっと役に立ちます。

施設管理の現場で重宝される資格としては、ビルメン4点セットなどと呼ばれるものもあります。これは、電気工事士、危険物取扱者、ボイラー技士、冷凍機械責任者などを指すもので、ビル管理に際して必須の資格になるものです。これらも、今の仕事の延長線上にあるようならぜひ取得しておきましょう。防火管理者など、講習を受けるだけで取得できるものもあります。

たとえ未経験であっても、有資格者はビルの設備管理の仕事につきやすくなるため、50代以降のセカンドキャリアとしても人気です。1つだけではなく、資格を複数取得することで仕事を得やすくなるはずです。

建物メンテナンス中の男性
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中高年のセカンドキャリアでは、宅地建物取引士やビル管理に必須の「ビルメン4点セット」のような、現場で配置が義務づけられ実務に直結する資格が本当に役立つ。※写真はイメージです

なぜFPは「食えない資格」なのか

一方で、あまり役に立たない資格というのも多く存在します。

例えば、ファイナンシャルプランナーです。かつてはとても人気の高かった資格であり、資格の王者のように呼ばれたこともありました。けれども、人気でありすぎたゆえに取得する人が多くなり、希少性がなくなってしまいました。金融機関の窓口の人はほぼ全員が取得しており、業界では持っていて当たり前の状態です。

国家資格でもありませんし、持っていなくては仕事ができないという資格でもありません。このような資格は、即戦力として認められにくいものです。

また、カラーコーディネーターなど、持っていても即仕事につながらない資格も多くあります。そのように、仕事につながらない資格や趣味に近い資格は、年々増えています。

それどころか、弁護士や公認会計士、社会保険労務士など、取得するのが難しい士業と呼ばれるような国家資格を苦労して取ったのに、仕事がないということもままあります。もはや、資格があれば安心という時代ではなくなっているのです。

だからこそ、自分にとって何が役に立つ資格なのかをしっかり見極めておきましょう。