茨城県土浦市(旧新治村)にある「新治ショッピングセンターさん・あぴお」は、地元商店街の協同組合が中心となって1993年に開業した大型商業施設だ。村の買い物客をつなぎとめる“切り札”として期待を集めたが、現在は大半が閉鎖され、営業はわずか数店舗にとどまる。なぜ地元主導の商業施設は衰退したのか。その背景にある構造的な要因を、ライターの坪川うたさんが探る――。(後編/全2回)
大部分が立ち入り禁止、空き区画は放置
「ショッピングセンター」というと、スーパーの大きな直営売り場があり、チェーンの専門店が並んでいる。そんな光景を想像する方が多いのではないだろうか。
だがかつて、チェーン店ではなく地元の商店が軒を連ねるショッピングセンターが数多く建てられた。地元主導型ショッピングセンター(以下、地元主導型SC)と呼ばれるものだ。
茨城県土浦市に存在し、廃墟化している新治ショッピングセンターさん・あぴお(以下、さん・あぴお)もその一つである。本連載における「廃墟化」あるいは「廃墟モール」の定義は下記のものだ。
開くことのないシャッター。むき出しのまま、ガランとした空き区画。撤退したテナントに散乱する備品。買い物や食事を楽しむ人が少なく、ショッピングモールとしての賑わいが感じられない。
さん・あぴおは専門店街が閉鎖され、館内の大部分が立ち入り禁止となっている。施設の外側からも、空き区画や放置されたままの備品が確認できる。営業を続けているスーパーや100円ショップも買い物客はまばらだ。
そうした状況にあるさん・あぴおが完成したのは1993年。まだ土浦市と合併しておらず、新治村という村だった地域に建てられた。
当時の新治村の人口は約9500人。村には筑波鉄道筑波線が通っていたが、利用者が少ないため1987年に廃止された。1997年に東筑新治工業団地が分譲を開始して徐々に工場が増えていったが、それまでは田畑が広がる農村地帯であった。

