販売台数世界一のトヨタは、今後も頂点に立ち続けられるのか。楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジストの窪田真之さんは「トヨタは現在も圧倒的な販売力とブランド力を持つが、今後はEVや自動運転、電池技術で勝てるかが重要になる」という――。(第2回)

※本稿は、窪田真之『「超」成長株の見つけ方』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

トヨタ自動車の豊田章男会長
写真=AFP/時事通信フォト
トヨタ自動車の豊田章男会長=2025年12月5日(写真:山崎雄一/AFP)

実力トップのトヨタが抱える未来への不安

私は自動運転・次世代自動車で将来的に成長していく企業として、トヨタ(7203)に期待しています。日本株ポートフォリオにトヨタは入れておくべきでしょう。ただし、トヨタが自動運転・次世代自動車の領域で、世界をリードしているとは言えません。

トヨタは自動車産業で世界トップの実力を有しますが、ガソリン車・ハイブリッド車に強みがあり、次世代自動車に強いわけではないからです。トヨタは米国トランプ政権が導入した自動車関税で大きなダメージを受けました。しかし、今後2〜3年かけてそのダメージを乗り越えていく力があると私は見ています。

トヨタの武器は、技術開発力・コストカット力・米国現地生産を増やす力・性能や燃費に対する世界中の消費者からの信頼です。ですがそれでも、今のトヨタを「美しい成長株」とは言えないでしょう。なぜなら、次世代自動車にとってもっとも重要と考えられる自動運転技術およびEVで世界トップを取れていないからです。

そして、20〜30年後には、ガソリン車の販売が大きく減る可能性があります。ガソリン車・ハイブリッド車だけで世界を支配していても、それで未来の成長が約束されるわけではありません。だからこそ、次世代自動車の候補と考えられているEV、燃料電池車(水素エネルギー車)や、自動運転技術で勝者となれるかが重要と言えます。

性能別に見る次世代自動車の評価

トヨタは、ハイブリッド車・EV・燃料電池車すべてに注力する、全方位戦略を取ってきました。ガソリン車の次に何が世界標準になっても戦える態勢を維持しています。けれども、EVの生産台数で米国テスラと中国BYDに後れを取っていることには留意すべきでしょう。

ガソリン車に取って代わるものを考える前に、まずは簡単な性能比較をご覧ください。

図表1は、次世代自動車の候補の性能比較表です。○△×は、2026年3月時点の筆者評価です。5つの性能項目で、全部○のつくものがあれば良いですが、それはありません。ガソリン車は、排ガスを出す点で××ですが、それ以外は、すべて○です。

それぞれの性能の特徴は次の通りです。

・燃料充填じゅうてん:満タンにするのにかかる時間は短く、2〜3分で済む。
・航続距離:満タンで500キロメートルくらい走れる車種が多く、便利。
・インフラ:全国・全世界にガソリンスタンドがあり、手軽に給油できる。
・価格:相対的に低価格。