関東地方は今がハイシーズン
関東地方だと、時期は大体7月後半頃から。時間は、日が落ちて夜に変わってゆく18時半頃から。場所は、公園の植え込みや街路路の暗がりなど。そうした条件下で、樹木や植え込みをライトを照らし、何かを探しているような人を見かけたことはないだろうか。そうした人たちは、とある高級食材を探している可能性が高い。
その高級食材というのが、夏の風物詩であるセミだ。
セミは枯れ木などに産み付けられた卵から孵化すると、土の上へ飛び降りて、地中へと移動し、木々の根から樹液を吸いながら幼虫期を過ごす。そして数年後、夏の夜に地上へと出て羽化し、成虫として2週間から1カ月ほどの間「ジリジリ」と賑やかに鳴き交わし、次の世代へ命をつないでいく。成虫も食べられるが、めっぽううまいのは幼虫なので、土から這い出してきたタイミングで捕まえることが多い。
コオロギ食などで昆虫食が広く知られるようになった今でも、「セミを食べる」と言うと、驚く人は少なくない。しかし、セミはアジア圏をはじめとした世界各地で、古くから親しまれてきた食材なのだ。
中国では養殖も始まるほど人気
世界でセミを食用にする文化のある国は、主に中国、タイ、ラオスなどが挙げられる。特に中国では、セミの幼虫は「金蝉(ジンチャン)」「知了猴(ジーリョウホウ)」と呼ばれ、大人気の高級食材として君臨している。現地では1匹あたり日本円で20〜50円ほどで取引され、ECサイトで大量売買が行われるほど一般的な存在となっている。さらに近年では、セミの養殖を指南する本も増えた。いかに需要が高まり続けているかの表れなのだ。
ところが、日本では基本的に食材としての流通はほぼない。飲食店で提供されるセミは、海外から輸入したか、自力で採ったか、ハンターから買い上げたもののいずれかだろう。おそらく、その「ハンター」が、近年発生している「セミ採り」を巡る摩擦の原因となっている。
昨夏のニュースで知った人も多いと思うが、中国人や日本人などのハンターが商用目的でセミを大量捕獲したり、夜間に集団でセミ探索をすることに不安を覚える人が続出した結果、さまざまな公園に「食用を目的としたセミの採取は禁止」といった多言語対応の看板が設置される事態となっているのだ。
なお、夏の楽しみや学びのための昆虫採集は問題ないことが多いが、もともと「採取した生き物や植物を持ち帰ってはいけない」というルールを設けている公園もある。



