セミの幼虫の美味しい調理方法

セミの食べ方の基本は「揚げること」だ。

まずは、泥落としと洗浄から。持ち帰った幼虫をボウルに入れ、流水で表面についた泥や汚れをていねいに洗い流す。そして加熱が必須。寄生虫や細菌のリスクがあるため、生食は絶対に厳禁だ。大きめの鍋に湯を沸かし、最低でも3〜5分以上しっかりと下茹で(茹で殺菌)してほしい。そうして水気をよく拭き取った後、油で素揚げにするか、多めの油と塩で炒めればOKだ。高温でカラッと揚げることで、殻がサクサクとした心地よい食感に仕上がる。なお、虫全般にいえることだが、甲殻類アレルギーのある人は食べてはいけない。

一口噛むと「ザクッ」とした香ばしい歯ごたえとともに、口の中に広がるのはナッツやアーモンドを炒ったかのような芳醇なアロマ。続いて、エビやカニを想わせる濃密な旨味と濃厚なコクが追いかけてくる。虫特有の匂いが鼻に抜ける個体もあるが、珍味の範疇で楽しめるレベルだ。「お酒が無限に飲める味」と表現する人は多いが、塩気が好きな子どもも、意外とよく食べる。

揚げ物が苦手な人には、めんつゆで下ゆでして、桜のチップで軽くいぶす「セミの燻製(通称せみくん)」をおすすめしたい。

(左)採れたてのセミをシンプルに揚げ、塩をふってビールといただく、夏の最高の楽しみ。(右)友人が作った「セミカレー」。カレーに、揚げたセミを焼いた野菜と一緒にトッピング!
筆者提供
(左)採れたてのセミをシンプルに揚げ、塩をふってビールといただく、夏の最高の楽しみ。(右)友人が作った「セミカレー」。カレーに、揚げたセミを焼いた野菜と一緒にトッピング!

種類や成長段階で味わいが違う

さらに深追いすると、セミには種類や成長段階によって風味や食感に明確なバリエーションが存在することもお伝えしておきたい。

まず、最も手堅いのはアブラゼミだ。ナッツ系の香ばしさと程よいナッツオイルのような油脂分があり、一番癖がなく食べやすい「王道の味」といえるだろう。ミンミンゼミは、それに比較するとややあっさりめ。西日本に生息する大型のクマゼミは濃厚かつ肉厚で、一匹での満足感が非常に高い種類である。

ここ数年、愛好家の注目を集め続けているタケオオツクツクという外来種は飛びぬけてうまい。竹林で発生することが知られているが、竹の樹液で育っているからか臭みがなく、実にいい味なのだ。この味を求めて、さまざまなYouTuberが発生スポットに大集合してしまう事態も目撃している。

一方、アメリカで定期的に大発生することで知られる周期ゼミは、正直おいしいとは言い難い味だった。肉が少なく繊維質が強く、味付けに左右される部分が大きかった。

(左)川口市に発生している、タケオオツクツク。アブラゼミと比べると、お尻の部分が数倍も大きい。鳴き声も金属音のようだ。(右)カリッとさせるしかなかった、周期ゼミ。
筆者提供
(左)川口市に発生している、タケオオツクツク。アブラゼミと比べると、お尻の部分が数倍も大きい。鳴き声も金属音のようだ。(右)カリッとさせるしかなかった、周期ゼミ。

なお、「幼虫」と「成虫」の味わいを比較すると、まったくの別物だ。羽化直前の幼虫は、体内に栄養と水分を蓄えているために皮が柔らかく、オイルリッチでジューシー。濃厚なコクと香ばしさが凝縮されており、グルメ界でも「幼虫こそが至高」とされる。成虫は飛翔筋(胸の筋肉)が非常に発達しているためヘルシーな味で翅や脚はカリッとクリスピーである。羽化したばかりで翅を乾かしている最中の成虫を「ソフトシェル」として楽しむ派もいる。

羽化したばかりのセミはやわらかく「ソフトシェル」と呼ばれる。
筆者提供
羽化したばかりのセミはやわらかく「ソフトシェル」と呼ばれる。