セミを合法で採取できる場所

では、どこなら採取していいのか。筆者は20年近く、毎年セミを採って食べている。ルールを守れば、個人で楽しむことは可能だ。大人数で開催される「セミ会」は、自治体から許可を得た上で行われているものが多いが、それ以外の場合でも採取していい場所をお知らせしておこう。

その1・一般的な都市公園・自治体管理の公園(採取禁止の規定がない場所)

都市部に住んでいる場合、公園での採取が最もラクである。その場合、都市公園法、各自治体の公園条例に基づいて判断する。一部の自治体(例:東京都杉並区など)では、公園条例により「鳥獣魚貝類・動植物の捕獲・殺傷」を禁止している。それ以外の場所も、商業目的や大量乱獲は条例違反や指導の対象となるが、一方で常識の範囲内(数匹程度の採取)であれば容認されるのが一般的だ。いずれにしても、管理者の指導やルールは厳守しよう。公道の街路樹などにいるセミは、民法上「所有者のいない生き物(無主物)」とされるため捕獲は自由だが、交通の妨げにならないようご注意を。いずれの場合も、樹木や公園設備を傷つけず、周囲に配慮して行うことが必須だ。

その2・河川敷・河川敷緑地(公有地)

河川敷は「河川の自由使用」の原則に基づき(河川法)、一般的な昆虫採集自体は法律で直接規制されていない。動植物も個人利用の範疇であれば採取可能なので、いわゆる「野食ユーチューバー」などは、ここで活動している人が多いだろう。ただし河川敷内に整備された河川敷公園・スポーツ広場などの場合は、管理する自治体の公園条例や利用ルールが適用される。

その3・私有地

所有者の許可を得た里山なども採取可能だ。ただし、落ち葉などが多い環境では、地面を歩くセミの幼虫は見つけにくい。特に捕獲ビギナーは、ある程度整備された公園のほうが見つけやすいと思われる。自宅の庭でセミが採れるケースが最も理想的だ。

「捕獲ポイント」をどう探すか

さて、場所のめどがついたら、次は捕獲ポイントだ。まずは昼間の明るいうちに、セミの抜け殻がたくさんある場所、地面に穴があるポイントを探しておく。セミが出てきた、“痕跡”を追うのだ。

抜け殻がたくさんついている樹は「セミに人気のある樹」といえるだろう。確実に、後続のセミが期待できる。
筆者提供
抜け殻がたくさんついている樹は「セミに人気のある樹」といえるだろう。確実に、後続のセミが期待できる。
地面の「穴」は、セミの幼虫が通った痕跡だ。この穴にくちばしをつっこんで、いち早くゲットするカラスもいる。
筆者提供
地面の「穴」は、セミの幼虫が通った痕跡だ。この穴にくちばしをつっこんで、いち早くゲットするカラスもいる。

捕獲に必要な道具は、ライト、セミの入れ物の2点のみ。筆者の場合は虫カゴだとかさばって邪魔になるため、小さな洗濯ネットにセミを放り込むようにしている。そして日が落ちる19時くらいを目安に、目星をつけておいた樹の幹をライトで照らすと、地中から這い出て羽化ポイントを探して登っていくセミの幼虫が見つかる。樹皮の質感と明らかに違い、ツルッとした外骨格が、光を跳ね返す。宝探しで宝を見つけたときのように、最もテンションがあがる瞬間だ。

セミは結構なスピードでスルスルと登っていってしまうので、20時を過ぎると手が届かないほど高い場所へいってしまうことが多い。また、捕まえたセミもそのままにしておくと、手元で羽化が始まる。意外と時間との闘いでもある。蒸し暑さと蚊、そして時間、たまにセミを狙うカラスの群れ……戦うべき相手は多いが、旬の味わいの前に闘志が漲る。セミの幼虫を早く見つけ、必要な量だけ捕獲したら、すぐ帰宅すべし。運のいい日なら、10分で数匹を入手できるだろう。

羽化の場所に、低い位置を選ぶセミも少なくない。低木などもチェックしてみるといい。
筆者提供
羽化の場所に、低い位置を選ぶセミも少なくない。低木などもチェックしてみるといい。