世界に響き渡る「三菱」ブランド
いま、世界の地政学・地経学の最前線で、日本の伝統的な巨大資本「三菱」の名がこれまでにない重みを持って響き渡っている。
その影響力から、覇権主義を強める中国の習近平政権から「狙い撃ち」にされ、サプライチェーンを人質に取られた猛烈な経済的威圧に直面している。その一方で、ロシアの侵略に抗うウクライナのゼレンスキー大統領からは、「極めて高い水準にある」と、その軍需生産能力を絶賛され、国家の命運を託すパートナーとして熱烈なラブコールを送られているのだ。
かつて「お荷物」とさえ揶揄された日本の防衛産業は、なぜこれほどまでに、世界の政治・軍事指導者から注目を集めるに至ったのか。中国が恐れ、ウクライナが熱望する「三菱ブランド」の正体と、日本企業が直面する新たな地経学的リスクの深層を、2026年現在の緊迫した国際情勢から読み解く。
すべての発端は、高市首相の国会答弁
中国がここまで露骨な対日圧力に踏み切った理由は、一つの国会答弁にさかのぼる。2025年11月、高市早苗首相は予算委員会で、台湾有事は『存立危機事態』になり得るという見解を示した。中国側はこれに猛反発し、答弁の撤回を要求。
しかし日本側がこれに応じなかったことから、中国は翌2026年1月、日本向けの軍民両用品に対する輸出規制の強化に着手した。以降、2月、6月と、規制は段階的にエスカレートを続けてきた。
中国側がこの経済的圧力を正当化する際に持ち出すのが、「日本は新型の軍国主義に傾いている」という主張だ。6月29日に発表された商務省報道官の談話でも、日本の姿勢を批判しつつ、規制の継続を強く示唆する内容が示された。
背景には、5月にフィリピンで実施された米比合同軍事演習で自衛隊が地対艦誘導弾を発射したことや、米軍が中距離ミサイルシステム「タイフォン」を日本国内に持ち込んだことへの、中国側の強い警戒感があるとみられる。
中国は国連の場や各国との二国間協議でも、日本を念頭に置いた軍国主義批判を繰り返し、自らの経済制裁を「地域の平和を守るための正当な対抗措置」として位置づけようとしている。
こうした政治的な緊張を背景に、2026年6月29日、中国商務省は新たな輸出規制リストを公表した。対象に加わったのは日本企業・団体20社。軍事転用も可能な「軍民両用品(デュアルユース)」について、事実上の禁輸措置に踏み切った。

