最も中国に狙われているのが「三菱電機」

すでに今年2月に第1弾の規制を発動しており、今回はその「第2弾」。両者を合わせると、規制対象は40の企業・団体にまで膨れ上がった。

規制品目にはレアアース(希土類)をはじめとする重要鉱物資源も含まれる。影響が及ぶのは防衛関連にとどまらない。製造業全体のサプライチェーンが揺さぶられかねない、という懸念が広がっている。

外交上の対立を経済の土俵に持ち込み、市場シェアを握る輸出品目を圧力の道具として使う――そうした中国の強硬姿勢が最も色濃く表れている先が、日本を代表する総合電機メーカー・三菱電機だ。

今回の措置は単発の嫌がらせではなく、周到に設計された「経済の武器化」と呼べるものだ。規制は大きく分けて、事実上の禁輸にあたる「輸出規制管理リスト」と、審査を厳格化する「監視リスト」の二本立てになっている。

【図表1】2026年 中国の禁輸・監視リスト追加対象(主要企業・機関抜粋)
筆者作成

前者では、中国企業からの直接輸出だけでなく、第三国を経由した迂回供給や、既存契約の継続すら認めないという徹底ぶりだ。今回追加された20社・団体には防衛省系の研究機関も含まれ、官から民まで防衛関連のサプライチェーンをまるごと断とうとする狙いがうかがえる。

一方の監視リストには、三井E&S(旧三井造船)やテラドローン、日本原燃、OKIなど20社が新たに加わった(2月のSUBARUなどに続く第2弾)。対象企業への軍民両用品の輸出には、軍事転用しない旨の誓約書提出などが求められ、取引そのものを煩雑にして萎縮させる効果を狙っているとみられる。

最新の戦闘機に使われる高度な技術

この推移を見ると、中国の狙いの変化がよくわかる。2月の第1弾では三菱重工やIHI、川崎重工といった大型のプライムコントラクター(主契約企業)やJAXA(宇宙航空研究開発機構)が標的となった。今回の第2弾は、そうした重工業を電子面で支える三菱電機系企業や防衛省の研究機関へと照準を移した形だ。

今回のリストで際立つのが、三菱電機グループへの集中的な指定だ。防衛・宇宙・システム分野を担う中核子会社――「三菱電機ディフェンス&スペーステクノロジーズ」「三菱電機ソフトウェア」「三菱電機エンジニアリング」――が軒並みリストアップされた。

理由は単純で、近年の日本の防衛装備品開発において三菱電機の存在感が急速に高まっているからだ。象徴的なのが、日本が英伊と共同開発中の次期戦闘機「F3」である。三菱電機はここで「ミッションアビオニクス」――電子機器やレーダー、センサー群を束ねる中枢システムを担当する。

いわば戦闘機の神経系にあたる部分で、現代の空中戦は機体の運動性能よりも、こうした電子戦・情報処理の能力が勝敗を分けるとされる。

加えて三菱電機は、空対空ミサイル「AMRAAM」の日米共同生産にも加わっており、日本の航空防衛力を支える存在だ。こうした電子機器の製造には、ネオジムやジスプロシウムなどのレアアースが欠かせない。中国はこの供給網を握ることで、日本の装備開発そのものに影響を及ぼそうとしているとみられる。

MBDA MeteorとAIM-120 AMRAAMミサイル
MBDA MeteorとAIM-120 AMRAAMミサイル(写真=Boevaya mashina/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons