社会問題となった「EV車の乗り捨て」

ハイブリッド車は、ガソリン車より燃費も使い勝手も良いですが、ガソリンを使うため排ガスが×です。ガソリン車の改良版として世界的に人気が高まっていますが、究極の次世代自動車とは考えられていません。近年人気が低下してはいるものの、EVがガソリン車に代わる次世代自動車としてもっとも有望という位置付けは変わりません。「自動運転」と親和性が高いことも強みです。

2024年以降、EVブームに異変が起こりました。米国・欧州でEV人気が急低下し、ハイブリッド車の人気が急上昇しています。2025年にスタートした米国の第二次トランプ政権が、EV補助金を大幅にカットし、ガソリン車への回帰を進めた影響もありますが、それだけが原因ではありません。

EV固有の使い勝手の悪さに、あらためて消費者の注目が集まりました。たとえばフル充電までの時間が長すぎること、充電ステーションが不足していて日中手軽に充電できないといった点です。

冬場に、充電ステーション前に充電待ちの長い列ができて、充電できないままに乗り捨てられるEVが出たことが、米国で社会問題として大々的に報道されました。

充電ステーション
写真=iStock.com/3alexd
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ハイブリッド車ブームが追い風に

また、EVの生産および販売で、中国が世界トップに立ったことも問題視されました。

欧米ではEV購入に高い補助金を出してきましたが、中国EVの販売を伸ばすために補助しているようなものだと批判されたのです。こうした問題も絡み、米国および欧州でEV補助金が大幅に削られることになりました。

こうして欧米でEV販売が失速するなか、ハイブリッド車のブームが起こりました。それらの変化を受けて、EV生産への移行を前のめりで進めていた米国のGMやフォード、ドイツのフォルクスワーゲンには、EV関連の設備に巨額の減損が発生しました。現在は、EVへの傾注を止め、あわててハイブリッド車の開発・生産を重視する方向に舵を切り直しています。

ホンダも、前のめりでEV開発を進めていたため、同様の減損が発生しています。ソニーとのEV共同開発も、見直しを余儀なくされました。この流れは、トヨタにすばらしい追い風です。トヨタはハイブリッド車で高い技術を持ち、ハイブリッド車ブームが強い追い風となっています。さらには、EV開発の遅れを取り戻すための時間をもらったとも言えます。