※本稿は、森勇磨『歩き方革命』(KADOKAWA)の一部を抜粋・再編集したものです。
「痛いから歩かない」で衰えが加速する体の部位
膝や腰に痛みを感じると、「これ以上悪化させたくないから、しばらく安静にしよう」と考える人は多いでしょう。しかし、この判断がかえって症状を悪化させてしまうことがあります。
中高年になると、特別な対策をしなければ、足の筋肉は1年に1~2パーセントずつ減っていきます。特に60歳を過ぎると、その減少スピードはさらに加速。普段どおり生活しているつもりでも、「動くための力」は少しずつ失われているのです。
ここで知っておきたいのが「痛みの負のスパイラル」です。痛みを恐れて動かずにいると、関節を支える筋肉が衰えていきます。すると、本来は筋肉がクッションとなって吸収してくれるはずの地面からの衝撃が、関節に直接伝わるようになります。その結果、炎症や軟骨のすり減りが進行し、さらに痛みが強くなっていくのです。
もちろん、痛みがあるときは無理をしてはいけません。しかし、多くの慢性的な痛みの場合、安静にしすぎることは体の衰えを早めてしまいます。
この負のスパイラルを断ち切るためには、「痛みのない範囲で毎日少しずつでも足を動かすこと」が大切です。
関節は動かさないとサビてしまう
人間の体は、ある一面では精密な機械と同じような性質を持っています。それは、「使わなければサビつく」という点です。
イメージしやすいように、自転車のチェーンを思い浮かべてみてください。長い間、雨ざらしのまま動かさなかったチェーンは茶色くサビつき、いざこぎ出そうとしてもギシギシと固まって、うまく回りません。
私たちの関節もこれと同じ。使わずに放置していると、少しずつ機能が低下してしまうのです。
関節のなかは、「関節液」と呼ばれる天然の潤滑油で満たされています。この液体は、関節の動きをなめらかにするだけでなく、血管のない軟骨に酸素や栄養を届けるという非常に重要な役割を担っています。
そして興味深いことに、この「天然のオイル」は、関節を動かす刺激が加わることで初めて分泌され、全体へと循環する仕組みになっているのです。


