つまり、痛いからといってじっとしていると、関節は潤滑油が不足した状態になり、ますますサビついて固まりやすくなります。

一方で、無理のない範囲で適度に関節を動かしてあげれば、新鮮な関節液がしっかりと行き渡り、動きがなめらかになります。その結果、摩擦や神経への刺激が減り、痛みが和らぐことも少なくありません。

機械であれば外から油を差す必要がありますが、人間の体は自ら油を作り出し、メンテナンスをする力を持っています。「動かすこと」そのものが、自分で行える最良のお手入れです。この大切な仕組みを、ぜひ覚えておいてください。

1日15分の運動で、死亡リスクは14%低下

「健康のために運動をしましょう」と聞くと、長時間走ったり、ジムに通ったりしなければならないと身構えてしまうかもしれません。しかし医学的なデータが示す結論は、もっとハードルが低いものです。

公園で脚のストレッチをする集団
写真=iStock.com/DragonImages
※写真はイメージです

台湾で行われた大規模な調査では、40万人以上を対象に、運動習慣と寿命の関係が調べられました。その結果、1日わずか15分体を動かすだけで、まったく運動しない人と比べて死亡リスクが約14パーセント低下することがわかりました。

たった15分です。

特別なジムも、高価な器具も、激しいトレーニングも必要ありません。朝の散歩や買い物の往復といった短い時間でも、これだけの差が生まれるのです。

森勇磨『歩き方革命』(KADOKAWA)
森勇磨『歩き方革命』(KADOKAWA)

では、なぜこれほど生存率に大きな違いが出るのでしょうか。

その理由の1つが、病気やけがをしたときの「体の余力」にあります。この余力は、主に筋肉量によって支えられています。たとえば病気や手術によって入院することになった場合、筋肉の蓄えがある人は、もし一時的に寝たきりになっても、リハビリによって再び自分の足で歩けるようになる可能性が高くなります。

一方で、もともとの筋肉量が少ない人は、一度の入院をきっかけに歩く力を失い、そのまま回復が難しくなることもあります。

「もしも」のときに回復できるかどうかは、今の筋肉の状態に大きく左右されます。

1日15分の運動は、未来の自分の体を守るための、大きな意味を持つ習慣なのです。

【図表2】内ももを鍛えて股関節を安定させる! タオル挟み運動
出所=『歩き方革命』(KADOKAWA)
【図表3】内ももを鍛えて股関節を安定させる! タオル挟み運動
出所=『歩き方革命』(KADOKAWA)
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