年金だけで穏やかに暮らすには、食費や日用品費を切り詰めるしかないのか。ファイナンシャルプランナーの橋本絵美さんは「やみくもな節約は長続きせず、生活の満足度も下げてしまう。大切なのは、毎日の努力に頼らなくても自然に支出が抑えられるよう、家計のしくみを整えることだ」という――。

年金だけで暮らせるかは「家計のしくみ」で決まる

「年金だけで暮らしていけるか不安です」。家計相談で多く聞かれる質問の一つです。

物価は上がり、将来の制度も見通しづらい中で、老後=不安というイメージを持つのは無理もありません。でも、多くの家計を見てきて思うことは、年金だけで暮らせるかどうかは収入の多寡ではなく、家計の構造=しくみで決まるということです。

どれだけ収入があっても家計に構造上の問題があれば、お金はどんどん垂れ流されていきますし、家計のしくみを整えていれば、限られた収入でも貯蓄は自然に増えていきます。これは現役世代も老後も同じです。

木製トレーに載せられた、焼き魚、白米、納豆、冷奴、たくあんの和食セット
写真=iStock.com/Yuuji
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食費や日用品費を切り詰めても長続きしない

老後の家計というと、「節約しなければ」「支出を減らさなければ」と考えがちです。現役時代と同じ感覚でお金を使い続けると、年金生活では必ず赤字になります。なぜなら、収入が現役世代よりも少ないからです。

そして老後に収入を上げることはなかなか難しいものです。つまり老後は、収入に合わせて暮らすことが絶対条件になります。しかし、やみくもな節約は長続きしませんし、生活の満足度も下がります。大切なのは、家計のしくみを整えることです。整えれば自然と支出は減っていきます。

「まず支出を減らそう」と考えることと「まずしくみを整える」ことは結果的に支出の削減につながるのですが、同じように見えて実は全く違います。

収入金額に合った家計に整えることを現役世代のうちから意識しておくと、老後は安心して暮らすことができます。節約という行動に頼るのではなく、自然と収支が合うしくみをつくることに注力する。この発想の転換が、老後の不安を減らす第一歩です。