腎臓の機能が低下する慢性腎臓病を患う人が増えている。東北大学名誉教授の上月正博さんは「20歳以上の5人に1人、80代以上では2人に1人が患っている計算で、新しい国民病と言える。近年の研究で、腎臓病を予防・改善するには運動が効果的ということがわかった」という――。
※本稿は、上月正博『長生きは腎臓が10割 腎機能を高めて健康寿命を延ばす最高の習慣』(Gakken)の一部を再編集したものです。
1日1万歩でなくても効果はある
ひと昔前まで、腎臓病を患った人は「自宅で静養してあまり出歩かないでくださいね」とアドバイスされるのが一般的でした。しかし、運動が腎機能に良好な効果をもたらすことがわかった今、理想とされる日常の過ごし方はガラリと変わっています。腎臓が悪い人ほど、どんどん歩くべきなのです。
運動を通して腎機能を改善するには、有酸素運動が必要不可欠です。そのなかでもウォーキングは効果が高く、腎臓リハビリテーションでも主役のような存在になっています。
スタスタ歩くという動作は非常にシンプルですが、得られる効果は実に多彩です。血流の改善などを通して、腎臓病はもちろんのこと、腎機能を悪化させる糖尿病や高血圧、脂質異常症の予防・改善にも役立ちます。
効果を得るために必要な歩数も、意外と多くはありません。私は、急性心筋梗塞を経験した患者さん41人を対象として、運動量と腎機能の変化の関係性を調べたことがあります。その結果、1日に4113歩以上歩いた患者さんは、歩数の増加にともなってeGFRの数値が改善する傾向が見られました。1日1万歩の半分に満たない歩数でも、効果は得ることができるのです。


