「定期的なリニューアル」と「高い運営能力」で成功
加えて、「リニューアル」と「運営能力」の面でもパルとさん・あぴおの運命を分けた。
さん・あぴおは、これまで大規模な増床は行っておらず、駐車場、建物の外壁、トイレなどが著しく老朽化した状態となっている。
パルはオープンから数年おきに改装・増床を実施し、照明やトイレといった設備を更新。消費者ニーズの多様化や競合の進出に応じてテナント構成を見直し、常に施設の新鮮さを保ってきた。専門店数も約60店舗、70店舗、75店舗と増えていき、現在はイオンと約80店舗の専門店で構成されている。
さらにパルは高い「運営能力」を持っている。もともとショッピングセンター運営ノウハウのない商店主たちの集まりでありながら、地域の人々が参加する多数のイベントを開催するなど、販促活動と地域貢献に力を入れてきた。
その取り組みが評価され、2004年には日本ショッピングセンター協会の「日本SC大賞マーケティング部門」を受賞している。2008年には同協会の「倉橋良雄賞(地域貢献特別賞)」も受賞し、パルの運営は専門家から高い評価を得ている。
そもそも生き残るのが困難な業態だった
もちろん、さん・あぴおも手をこまねいていたわけではない。
大手チェーンの競合に対抗して水海道や結城といった近隣地域の地元主導型SCと共同で販促を実施したり、長崎屋撤退後に新たな核店舗を迎え入れたりしてきた。2010年には空き区画を活用して、複数のメーカーの商品が格安でそろう「tonyaモール」を導入した。
公式Xの投稿からは、今は閉鎖され立ち入り禁止となっている吹き抜けの広場で、「ガラポン大抽選会」や「手作りまるしぇ」「カラオケショー」「新春餅つき大会」などさまざまなイベントを開催していたことが見て取れる。イベントに多くの人々が集まっていたとわかる写真も残っている。
さん・あぴおを盛り上げようと奔走した商店主たちと、そこで楽しむ地域の人々が確かに存在したのである。
それでも、さん・あぴおは淘汰されてしまった。数々のチェーン店がそろい、強い集客力を持つ競合施設が周りにできていくなかで、地元主導型SCが勝ち続けるのは容易ではなかったのだ。
さん・あぴおの道のりは、時代の変化のなかで、そして苦しい状況のなかで、生き残りをかけて奮闘した全国の商店主たちの歴史を示している。




