「メローニを見習え」一部の日本人が礼賛
高市早苗首相がワシントンのホワイトハウスを訪問し、ドナルド・トランプ大統領に飛びついてハグしたというニュースが世界中に拡散された3月あたりからだろうか。日本のSNS界隈で「イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、トランプ大統領にもビシッと物申す、素晴らしいリーダーだ」という称賛の声を頻繁に目にするようになった。
5月の中旬には、イスラエルのベン・グビール国家治安相がSNSに投稿し、世界中から批判を浴びたガザ支援船団乗員に対する侮辱的な動画について「強く抗議し、謝罪をイスラエルに要求した強い首相」として、好意的に報道されていた。そんな日本の報道に付随しているのが、同じく初の女性首相である日本の高市首相とメローニ首相との比較、さらには「メローニを見習ってほしい」「イタリアがうらやましい」という声だ。
だが、イタリア国内で実際に見聞するメローニ首相の政治・外交姿勢は、日本で語られる彼女のイメージとは随分違う。対米関係を例に挙げるなら、彼女の振る舞いはむしろ驚くほど慎重な(と言えば聞こえはいいが)トランプ追従型だ。
1月には「トランプ大統領にノーベル平和賞が授与されることを願っている」などと発言し、トランプ大統領からも「彼女はとても若くてきれいな女性だ」などと政治手腕とはまったく関係ない褒め言葉を投げかけられ、愛想笑いをする――そんな状況だった。だが日本では、そういうことはまったく報道されず、メローニ礼賛が続いている。
高市首相とメローニ首相の共通点
二人の女性首相には実際、多くの共通点がある。イタリアと日本でのそれぞれ初の女性首相であること、強硬保守右派であること、そして自らが女性でありながら中絶禁止政策を取ったり(メローニ)、夫婦別姓の導入を拒否し続ける(高市)など、伝統的な価値を強く重んじ、ともすれば女性の自由を制限するような主義である点などはかなり共通していると言える。
そんな伝統的な女性であり母親であることを「私は一人の女性、一人の母親、一人のイタリア人で一人のクリスチャン」と「売り文句」にするメローニが、ガザで死傷した子供たちが5万人を超えたというニュースにも非難の声一つあげずにイスラエル支援を続けたことや、アメリカ軍がイランの女子小学校を空爆(米軍は誤爆と説明)して175人もの女児たちが死亡したときに1週間雲隠れしてノーコメントを通したことなどは、日本では報道されていない。
つまり日本で語られるメローニ像は、イタリアの現実というより、日本人、特に高市政権に批判的な人々の政治的願望を映し出したもののように見える。

