悪玉コレステロールは健康にどのような影響を及ぼすか。日本医科大学名誉教授の太田成男さんは「コレステロール自体は決して悪者ではなく、体にとって優秀な“材料”だ。値を減らす技術ではなく、酸化を抑制して『異物』をつくらないことが求められている」という――。
※本稿は、太田成男『弱った体ががらりと変わる 本当の「解毒力」』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
「悪玉コレステロールは悪者」は大誤解
体内で生まれる異物はいろいろありますが、異物が健康に与える仕組みや影響としてわかりやすいのが、馴染みのあるコレステロールの酸化物だと思います。そこで、酸化コレステロールと動脈硬化の関係を例にして健康に与える影響について、説明していきましょう。
長らく「悪玉コレステロール(LDL)」という言葉が、人々の不安のタネとなってきました。健康診断の結果に記されたLDL値が基準より高いと、それだけで「健康不安」を感じる人も少なくありません。しかし、LDLを悪者と見なす考え方には、ある重要な誤解が潜んでいます。
実は、LDLそのものは、動脈硬化の原因ではなく本来は身体の維持に欠かせない役割を担う存在です。問題の中心はLDLそのものではなく、酸化されたLDL(酸化LDL)であり、それが動脈硬化の原因となります。つまり、LDLが「酸化してしまう環境」が「体内に生まれたとき」に問題になる、ということなのです。
では、LDLは一体どのような環境下で酸化してしまうのか。
まず挙げられるのが高血圧です。高血圧では、血管の内側にある内皮細胞が傷つきやすく、炎症が起きやすくなる要因になります。そして、活性酸素が大量に発生しやすくなる、という具合です。
また、糖尿病も「酸化してしまう環境」の典型例といえるでしょう。血糖値が高い状態のとき、体内が酸化しやすくなるのです。

