2025年の合計特殊出生率は1.14で、過去最低を更新した。なぜ少子化は止まらないのか。文筆家の御田寺圭さんは「共働きしながら複数人の子を持つのは現実的に無理なのではないかという声がSNSでは見られる。少子化対策の前提が問い直されているのではないか」という――。
新生児の手
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「共働き・子ども複数人は無理」の声

先日発表された最新の人口動態統計で合計特殊出生率は過去最低の1.14となった。

出生数も過去最少を更新し、日本社会がこれまで想定してきた少子化対策の前提は、いよいよ根元から問い直されている。高市総理もこれを「静かな有事」と呼び、少子化対策の強化を改めて言明した。

このほどの最新の出生率が発表される前から、子育て世帯からは、「やっぱり共働きしながら複数人の子を持つのは現実的に無理なのではないか?」といった声が近ごろSNS上で目立っていた。夫婦がともに働きながら、家計を支え、家事を回し、子どもと向き合い、学校や習い事に対応し、さらに親としての時間まで確保することの矛盾と疲弊を訴える声が各所で上がっていたのだ。

こうした声の高まりに赤沢経済産業大臣がX上で示したリアクションには、子育て世帯の女性たちから厳しい批判が殺到していた。

「家族で過ごす大切な時間もなげうって必死に働いてギリギリ1~2人育てられるかという状況がおかしいと言っているのに、『もっと労働にフルコミットできる状況をつくりますよ』というのは返答になっていない」――と、赤沢大臣のポストは炎上状態となってしまっていた。

現代的で合理的な家族モデル

夫婦二馬力で働き、ペアローンを組んで住宅を取得し、子どもを複数人育て、家事も育児も卒なくこなす。これは一見すると、現代的で合理的な家族モデルのように語られてきた。しかし実際には、かりにその夫婦がどちらも疲れ知らずのサイボーグのような人間であったとしてもなお成立困難だ。理由は単純で、一日は24時間しかないからだ。

もちろん夫婦二馬力のサイボーグカップルが、その高い経済力にモノを言わせて家事や育児をアウトソーシングし、家電やサービスによって家庭運営をオートメーション化していけば、時間的制約の問題は一部解決できる。掃除はロボットに任せ、食事は外注し、送迎や見守りも専門サービスに委ねる。そうすれば「一日が24時間しかないからすべてをこなせない」という問題はある程度は圧縮できるだろう。