「宇喜多直家」の大河ドラマが見たい
毎年必ず放送されるNHK大河ドラマ。井伊直弼を描いた1963年の「花の生涯」以来、60年以上にわたって放送が続いている。戦国や幕末を中心に、日本史の様々な人物を描き、時に通説をひっくり返す新たな解釈も提供してきた。
しかし、まだまだ取り上げられていない人物は多い。教科書には載っているのに大河にならない人、教科書にすら載っていないのに面白い人、そして「なぜこいつがまだ大河にならないんだ」と叫びたくなる人が、日本史にはごろごろしている。
そして、全国津々浦々で民間はもとより行政も巻き込んで、NHKに「ぜひ、我が故郷の人物を大河ドラマに」という運動が繰り広げられている。
それだけ、まだ取り上げて欲しい魅力的な人物は多いのだ。そこで、筆者が勝手に推薦する。NHKには一切関係なく、忖度もなく、ただ「見たい」という欲望だけで選んだ、大河ドラマにしてほしい人物たちである。
第1回は、宇喜多直家。
現在放送中の「豊臣兄弟!」には登場を果たした直家。しかし、その扱いはあくまで状況の説明。毛利輝元に「大義はあるのか」と詰め寄り毛利勢のどうしようもなさを知らしめるのが、その役割であった。
覆されようとしている「戦国三大梟雄」イメージ
宇喜多直家(1529〜1582年)は、備前国(現在の岡山県南部)の戦国大名である。祖父の代に没落した宇喜多家に生まれ、幼少期を豪商の家に身を寄せながら過ごした。成人後は浦上氏に仕えて頭角を現し、謀略と外交を駆使して備前・美作・備中に及ぶ大名へと成長。最終的には主家・浦上氏をも追放して独立を果たし、後に織田信長の傘下に入った。
その後を継いだ嫡男・秀家は豊臣政権の五大老にまで上り詰めたが、関ヶ原の戦いで西軍についたために敗れ、八丈島に流されて宇喜多家は事実上滅んだ。岡山城と城下町の基礎を作った人物として、現在の岡山市の礎を築いた。
一方で「戦国三大梟雄」のひとりとして知られ、謀殺・暗殺を繰り返した残忍な武将というイメージが長く定着してきた。そのイメージが、いま覆されようとしている。
いや、少なくとも地元・岡山人は、覆されようとしているという前提で盛り上がっている。
今年2月には、柴田勝家役の山口馬木也が隣の総社市出身ということで、岡山城で豆まきを実施。7月5日には秀吉役の池松壮亮ほか、蜂須賀正勝役の高橋努、黒田官兵衛役の倉悠貴を招いてトークショーも開催された。どういう人選かと思いきや「備中高松城の水攻めにゆかりのある役を演じる番組出演者」だという。
無理矢理感は否めないが、確かに盛り上がっている。県内市町村で構成する戦国宇喜多家の大河ドラマ誘致を応援する自治体の会には、直家の版図とまったく関係なさそうなところまで入っている。

