急な雨を見抜く方法はあるか。映画『天気の子』の気象監修をつとめた雲研究者で気象庁気象研究所主任研究官の荒木健太郎さんは「空を見上げてほしい。嵐の前触れをしらせてくれる、代表的な雲の特徴がある」という――。(前編/全2回)

※本稿は、荒木健太郎『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

天気は「雲」が決めている

「モクモクした雲に乗って空を飛んでみたいな」と、誰もが一度は想像したことがあるのではないでしょうか? 残念ながら私たちは雲に乗ることはできませんが、雲の不思議を科学的に解き明かすことはできます。

雲は無数の水や氷のつぶが集まって空に浮かんでいるものです。つぶは空気中の水蒸気(気体の水)が液体の水や固体の氷になったもの。空気中にある目に見えないほど小さなチリ(エアロゾル)が芯(凝結核)となって発生します。

つぶの大きさ(半径)はわずか0.01mmで、髪の毛の太さ(断面)の5分の1程度。この小さなつぶは毎秒数mm〜数cmの速さで落ちるのですが、空にはもっと速い上昇気流(上向きの空気の流れ)がたくさんあるので、雲は空に浮かんでいられるのです。

雲は、さまざまな形で空に現れて青空に表情を与えたり、空に厚く広がって雨や雪をもたらしたりします。いわば、空に浮かぶ雲が天気を決めていると言っても過言ではありません。

現代は、空を見上げて天気のことを考える機会が減っているのではないでしょうか? スマートフォンで受け取れる気象情報と合わせて、ときには雲を眺め、天気の予測や防災に役立ててほしいと思っています。

細かく分けると400種類以上になる

雲は実にさまざまな姿かたちをしています。

大きく分類すると、雲の姿かたちや現れる空の高さによって10種に分けられます(十種雲形)。さらに、細かく分けると400種類以上にもなります。

すべてを覚えるのは大変ですが、雲の性格や、雨や雪の有無は雲の名前に使われている漢字で判別できるものがあります。

〈ここがポイント〉
「積」がつく雲は、モクモクしていて上に成長する元気な雲
「層」がつく雲は、横に広がるおとなしい雲
「乱」がつく雲は、天気を乱して雨や雪を降らせる雲
積乱雲
上層(高い空)まで成長した大きな雲。積乱雲の下では土砂降りの雷雨になっていて、雷雲ともいう。さまざまな災害の原因にもなる。[出所=『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』(KADOKAWA)]

災害をもたらす典型的な雲は「積乱雲」です。

雷を伴うため雷雲ともいい、土砂降りの雷雨のほか、竜巻などの突風や雹をもたらします。集中豪雨の原因となる線状降水帯や、南海上で発生する台風も、積乱雲が多数集まり発生する現象です。

積乱雲によりもたらされる雨は、古くから「夕立」や、急に降り出す雨を意味する「驟雨しゅうう」、「通り雨」という名で知られてきましたが、近年は災害をもたらす局地的な大雨が増えています。