皇室典範改正への高市政権の動き
歴史が変わろうとしている。
2月24日、女性で最初の宰相となった高市早苗首相が、衆議院本会議の代表質問で、「皇室典範改正の議論が進展し、速やかにまとまることを期待する」と答弁したからだ。高市首相は、18日の特別国会冒頭の施政方針演説でも、皇位継承の安定化のために皇室典範の改正に強い意欲を示している。かなり前のめりである。
首相の念頭にあるのは、皇族が旧宮家の男子を養子とし、皇族の数を増やすことである。それは「男系男子」での継承にこだわる保守派の主張でもある。
しかし、皇室典範の改正は、保守派が基盤としている伝統を突き崩すものであり、かえって愛子内親王の天皇即位への道を開いていくことになる。
『古事記』に記された神話では、岩戸に隠れてしまったアマテラスを引き出すために、アメノウヅメが猥雑な踊りであたりをわかす場面が出てくる。高市首相は、このアメノウヅメの役割を果たすことになるかもしれない。アマテラスを祖神とする「愛子天皇」が出現するからである。
今回はそれについて、順を追って考えていきたい。
国会の決議で改正できる皇室典範
2月の総選挙で、自民党が多くの議席を占めた衆議院の森英介議長も、安定的な皇位継承の議論について「先送りは許されない喫緊の課題だ」と述べ、国会の総意を早期に取りまとめるために努力すると就任後の会見で語った。
どうやら、旧宮家の養子案実現にむけて国会は動いていきそうだ。これについては今まで、自民党と立憲民主党との間で見解の相違が見られた。だが、立憲民主党が合流した中道改革連合が大幅に議席を減らしたことがそこに影響し、自民党の主張が通りそうな気配である。
もちろん、これは多数決で決めるべき問題ではなく、幅広い合意が必要である。
高市首相は憲法の改正にも意欲を示しているが、憲法の改正になると、衆議院と参議院で3分の2以上の賛成が必要である。衆議院で自民党は3分の2以上の議席を占めるようになったが、参議院ではそうなっていない。しかも、憲法改正案は国民に示され、国民投票で過半数の賛成が得られなければ改正には至らない。かなりハードルは高い。
皇室典範には、そうしたハードルはない。皇室典範は“一般の法律”で、国会が決めれば、それで改正できる。
ただし、皇室典範が「皇室法」ではない点は無視できない。「典範」と称する法律は他に存在しない。それも、明治の時代に旧皇室典範が定められたとき、それは法律ではなかったからである。
では、何だったのか。

