定年退職後も健康でいられるにはどのように過ごせばいいのか。医学博士のエリザベス・エクストロムさんは「多くの人が楽しみにしているであろうゴルフや旅行三昧の生活は案外すぐ飽きる。引退後も社会に貢献し続けることは健やかに老いるために必須だ」という――。

※本稿は、マーシー・コットレル・ハウル、エリザベス・エクストロム『The Gift of Aging じょうずに老いる』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

ゴルフをする男性
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「引退」は死亡リスクを高める要因になり得る

ダニエル・ピンクは著書『モチベーション3.0』の中で、こんな問いを投げかけています。

“60歳になったとき、人はこう考える。自分はいつになったら意味のあることをするのだろう? いつになったら最高の人生を送れるのだろう? いつになったら世界に貢献できるのだろう?”

私はこれらの問いが好きです。そこには私たちが60歳になっても、まだ社会に貢献できると信じる気持ちが表れているからです。でも、そんな私たちに社会が用意しているのはなんだと思いますか。引退です。しかも引退は、人によっては死亡リスクを高める要因にもなり得るのです。

引退しか選択肢がないとしたら、どうやって自分の可能性を最大限に発揮できるでしょうか。

引退後のゴルフ、旅行は案外ずっと早く飽きる

アメリカ社会の大きな問題のひとつは、引退という概念そのものです。それによって膨大な人的資源が失われるだけでなく、自分らしく生きる力や何かを究める喜び、人生の目的までも奪われるのです。

多くの人にとって、50代や60代は人生の中で最も生産的な年代です。豊富な経験を積み、若いころのような判断力不足や気の散りやすさもなく、コミュニケーション力も管理能力も高まっています。それなのに、健康状態に問題がなく、成功している中高年の多くが、積極的に引退を計画しているのです。そのあとは何をしようと考えているのでしょうか。旅行? ゴルフ? 料理の勉強?

海外旅行やゴルフや新しいレシピに飽きるまで、どれくらいかかると思いますか。

はっきり言います。みなさんが思っているより、ずっと早く飽きます。

多くの人が引退を楽しみにしているという事実は、アメリカの労働文化や私たち自身の仕事体験について、あることを物語っています。“仕事”はある意味で、口に出したくない単語になっているのです。

情熱も知的刺激も感じられないまま、ただ漫然と時間を過ごしているだけだったり、おもしろい内容ではあるけれど、ずっと変化がなく、自分の力を出しきれていないと感じていたり。