会社でも家庭でも順風満帆だった人が、50代を境に苦境へ追い込まれるケースは少なくない。ファイナンシャルプランナーの川淵ゆかりさんは「収入減そのものよりも、生活レベルを見直せないことや変化を受け入れられないことが問題だ。50代以降は現実を直視できるかどうかで老後の安心が大きく変わる」という――。
オフィスのデスクで両手で顔を覆うビジネスマン
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湾岸タワマンに住む「勝ち組」のはずが…

大手メーカーの営業企画部長だったAさん(50歳)は、年収1500万円で、中央区の湾岸タワマンに暮らす4人家族です。誰が見ても“勝ち組”の人生は、他人から見ても理想の家族でした。

【図表1】家族構成
筆者作成

若い頃から営業成績は常にトップ、接待もゴルフも得意で、同期の中でも出世は早いほうでした。ですが、ワンマン気質は家でも「俺が稼いでいるんだから」という空気を自然と漂わせ、家族でさえも気を遣うという面もありました。

40代まではそんなAさんのやり方でも家計に余裕があり、家庭は回っていました。定年まで残り10年。ゴール目前のサラリーマン生活。管理職として、会社も家庭も上手く管理できていた――はずでした。

家計破綻リスクが一気に高まる50代

Aさんの家庭は、都市部の高収入世帯にありがちな構図です。

・子どもは2人とも有名私立
・妻は専業主婦
・住宅は約9500万円の高級マンション(湾岸タワマン)

ですが、むしろ順調だった人ほど“気づかないまま危機に入る”のが50代で、「収入のピーク」×「教育費のピーク」×「住宅ローンの重さ」が一気に重なる年代です。

収入のピークが崩れやすいのも50代で、「役職定年」「早期退職」「配置転換」など、どのような形で襲ってくるかはわかりません。そして、これは決して特別なケースではありません。Aさんは、その現実をまだ知らなかったのです。