スキルアップを怠ったAさんの悲劇
ある日、Aさんは会社の専務から営業DXを進めることを命じられましたが、AさんはWordやExcelは使えても、ITやDXにはまったく興味がなかったのです。
「コンピュータなら情シスだろう!」
「国家試験に合格してるんだから、お前が先陣切れよ」
と、情報システム部門と同期で部下である次長のBさんに丸投げしました。
Bさんは、もともと真面目でコツコツ型。
大学生の息子の勉強に興味を持って、一緒にITパスポートを勉強し、親子で合格したばかりでした。営業企画部門での飲み会で、「プログラムも息子に教えてもらって作ってみたんだ」と嬉しそうに話すBさんに対し、Aさんは「もう50だぜ。今さら勉強なんて何になるんだよ」と馬鹿にしたように返したこともありました。
Aさん自身がDXの必要性を理解しないまま、部下への説明も無くDXは外部のITベンダーも交えて進み始めましたが、現場は混乱してしまいます。
・情報システム部門は「当事者意識がない」と不満を専務に直談判
・ITベンダーは責任の所在が曖昧で苦情を連発
それでも責任感のあるBさんは「なんとか成功させよう」と孤軍奮闘し、営業企画部門の部下をなだめ、情報システム部門やITベンダーに教えてもらいながら必死で走り回りましたが、責任者のAさんが動かない以上、なかなかプロジェクトは進みません。
年収はまさかの1500万円→900万円
結局、多額のコストをかけたDXは失敗。完成したシステムはバグだらけで、「使い物にならない」と現場から総スカンを食らったのです。
苦情や不満が専務まで届いてしまった結果、Aさんは“専任職”という名の実質的な平社員へ降格となりました。そのため、年収は1500万円から900万円まで大幅にダウンしてしまいました。
一方、Bさんは孤軍奮闘の努力が周りからの信頼を勝ち取り、国家試験合格などの積み重ねも上層部から評価された結果、Aさんのポストである営業企画部長に昇進したのです。
Aさんの収入が下がった瞬間、以下のように毎月の出費は重く圧し掛かってきます。
・住宅ローンの大きな返済額
・タワマンの管理費・修繕積立金と駐車場代の値上がり
しかし、Aさんは持ち前のプライドの高さから
「ローンが払えなくなった、と思われたくないからタワマンは定年退職までは出たくない」
「子どもは希望通り私立大学に進ませたい」
と、なかなか現実を見ようとしません。
一時は転職も考えましたが、特に特技も技術もなく、今回の件で管理能力にも自信もなくしてしまい、また年収900万円以上の転職先などそう簡単にあるはずもなく、Aさんは定年退職まで会社にしがみつく道を選んだのです。

