お金の不安を遠ざけるにはどうすればいいか。法政大学大学院ファイナンシャル・ウェルビーイング研究者の櫻井かすみさんは「自分なら対応できるという自己効力感を持てば、物価高や円安にも動揺しないでいられる。また、選択肢を絞ることも効果的だ」という――。

※本稿は、櫻井かすみ『不安通貨 貯金や投資で消えない「お金の不安」を最新科学で解決』(Gakken)の一部を再編集したものです。

積み上げられた硬貨
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「自分ならできる」と信じているか

お金の不安をなくすために本当に必要なものは何でしょうか。

収入や知識を増やすことではありません。

自己効力感という概念を提唱した心理学者アルバート・バンデューラは、次のように述べています。

【人が行動を起こすかどうか、どれだけ努力するか。そして困難に直面したときにどれだけ持続できるかは、「自分にはそれができる」という信念によって決まる】

言い換えると、「自分でコントロールできている」という感覚。心理学では、これを自己効力感と呼びます。つまり、人の行動や継続力を決定づけているのは、能力そのものではなく、「自分なら対処できる」「想定外のことが起きても、なんとか自分で対応できる」という感覚なのです。

お金の不安の正体は「無力感」

自己効力感とは、結果をすべて完璧に“実際にコントロールできる”という意味ではありません。「想定外のことが起きても、なんとか自分で対応できる」と“信じられること”です。この感覚があるかどうかで、同じ状況でも不安のレベルは大きく変わります。

多くの人が勘違いをしていますが、お金の不安は「お金が足りないから」だけで生まれるわけではありません。むしろ不安の正体は、「何が起こるかわからない」「起きたときにどうすればいいかわからない」「自分には対処できない気がする」「立ち上がれない気がする」という無力感に由来します。