健康に長生きするにはどうすればいいのか。帯津良一医師は「好きなものを食べ、毎日をときめいて生きることが大切だ。『身体に良いこと』より『心に良いこと』を優先することで、自然治癒力が高まり健康につながる」という。精神科医の和田秀樹さんの著書『80歳の壁を超えた人たち』(幻冬舎新書)から、帯津さんの“老けない習慣”を紹介する――。
(左)和田秀樹さん(右)帯津良一さん
撮影=杉田裕一
(左)和田秀樹さん(右)帯津良一さん

「毎日が最後の晩酌だと思って飲んでいます」

【和田秀樹】(以下、和田)帯津先生はいつお会いしても笑顔ですし、今日もお顔は艶々です。

【帯津良一】(以下、帯津)実はさっき診察を終えた後、缶ビールをね。和田先生なら怒らないだろうと(笑)。

【和田】(笑)。お酒は今も毎日?

【帯津】はい。365日。60年以上続けています。私は今日が最後の日だと思って生きているんでね。毎日が最後の晩酌だと思って飲んでいます。

【和田】元気の秘訣ですね。お仕事は今もふたつの病院で?

【帯津】はい。この池袋のクリニックで週2回。本拠地の川越の病院で週3回。

【和田】平日5日、全部?

【帯津】はい。土日は自由。そこで講演に行ったりしてます。

【和田】年をとっても働いたほうが確実に若返ります。とはいえ、すごい!

【帯津】働くのは大好きでね。何もない日が嫌いなんです。だから正月休みは一番嫌い。12月30日から1月3日まで5日間も休んでいられないから、元日には私が病棟回診をします。全部回るんですよ(笑)。

【和田】帯津先生がすごいと思うのは、軸足が医療ではなく、生き方とか人間そのものを見ているところです。

【帯津】以前、和田先生に「朝に生ビールを飲む」と話したら褒められたでしょ。嬉しかったですね。生身の人間として見てくれている。

我慢をせず、機嫌よく生きる

【和田】僕は精神科だからとくにそうなのかもしれませんが、気分をすごく大事にしていまして。機嫌よく生きてるほうが免疫力も上がりますからね。でも日本って、そういうことに何かとうるさいじゃないですか。

【帯津】そう。朝からお酒を飲むのは「けしからん」とかね(笑)。

【和田】だけどヨーロッパなんかでは、昼からビールやワインを飲んでいる。人生を楽しんでいるんですよ。僕はそれが大事だと思います。

【帯津】私は生ビールが好きで、ホテルに泊まると必ず朝食の時飲むんです。だけど近頃は「朝は出しません」と言われて、がっかりすることが増えました(笑)。

【和田】それで一日を気分よくスタートできるなら、とてもいいような気がしますけどね。今の医学や科学では「身体にいいもの」とか「悪いもの」という考え方をしがちです。でも実際は「身体に悪いはずだけど美味しい」ものも多い。それはね、身体が喜ぶものなんです。それを「身体に悪いものだ」と決めつけて本当にいいのかなと、僕は思いますけどね。

【帯津】貝原益軒えきけんの『養生訓』に「好きなものは薬にあつべし」とある。「好きなものは薬だ」と。私はこれを最初から信じてるので好きなものしか食べない。

【和田】いいですね。日本人は「贅沢は敵だ」とか「我慢が大事だ」みたいなことを言って、しかめ面をして生きてます。

【帯津】本当は好きなことをして自分が美味しいと思うものを食べて、ときめいて生きるのが一番なんですよ。

【和田】帯津先生は「こうやって生きたらいいよ」という手本のような方です。

【帯津】嬉しいですね。これも貝原益軒の論ですけど「人生の幸せは後半にあり」っていうのを、きちっと守ってきたらね。84〜85歳の頃から気持ちが幸せになってきましてね。

【和田】素晴らしいですね。