※本稿は、萬田緑平『死ぬまで生きる』(河出新書)の一部を再編集したものです。
寝たきりを続けることになっても…
ここ数年で胃ろうが問題視されるようになり、医師からの「胃ろうを造りましょう」という提案に、すんなり「イエス」と言えない人も多いかと思います。もし自分や家族がそんな事態になったらどうすればよいのか、悩む人が多いでしょう。
まず、本人に意識があるのなら、本人の意志を尊重するのが当然です。そして本人の意志がはっきりしていて回復への意欲があるのならば、胃ろうを造ることにそれほど抵抗する必要はありません。
胃ろう自体は決して悪い技術ではないのです。口から食べることができず弱っていた患者さんが、胃ろうによって全身状態が改善され、再び自分の力で食べられるようになるケースは少なくありません。また、僕が訪問診療している患者さんには体調に応じて胃ろうからの栄養摂取と口からの食事を器用に使い分けて、上手に生きている人もいます。
家族が決めなければならないとき
問題なのは、意識がなかったり認知症が進んでいたりして、本人の意志が確認できないケースです。胃ろう造設を決めるのはご家族になります。患者さんのご家族の希望や意向は胃ろう・寝たきりコースを推し進めます。
「生きていてほしい」
「もうやめてくださいというわけにはいかない」
患者さんはものを食べる喜びを失ったまま、ベッドの上で何カ月も、何年も寝かされ続けて亡くなっていきます。長い間寝たきりを続けているお年寄りのほとんどが、胃ろうをつけているといってよいでしょう。
そもそも、胃ろうはすぐれた技術ではありますが、絶対に安全なわけではありません。
胃ろうの造り方について簡単に説明すると、まず内視鏡を患者さんに飲み込んでもらいます。内視鏡が胃に達したら、外側のおなかの上から針を刺し、その針穴からひもを入れます。胃の中でひもを捕まえて口まで引き抜き、胃ろうチューブを装着してから、おなか側のひもを引っ張ってチューブを胃の中まで引き入れ、さらにチューブの先をおなかの外まで引っ張り出します。チューブの先が抜け落ちないように固定して、内視鏡で胃のなかのチューブを確認して造設は終了です。チューブは1カ月〜半年に一度交換します。

