トランプ大統領がグリーンランドに食指を伸ばしている。同地は主権をデンマークに残しながら、軍事拠点と資源へのアクセスは米国が握っている。この状況を「北大西洋の沖縄化」と表現する学者もいる。現地を取材したジャーナリストの座安あきのさんは「大国の論理に直面する一地方がどう立ち回るべきか、グリーンランドから学ぶことは多い」という――。

日米で交わされた「那覇空港」の知られざる事実

沖縄の那覇空港の国内線乗降客数は、羽田、新千歳、福岡に次ぎ全国4位だ。国際線をあわせると2025年度の乗降客数は過去最高となる2346万人となった。アジア10都市につながる空の玄関口だが、実は陸・海・空の自衛隊が集結する全国唯一の民間空港であり、すでにそのキャパシティーは限界に達している。

この重要な航空インフラが、有事の際には米軍の戦闘の作戦拠点として使われる――。そんな筋書きが、30年前の普天間返還合意の時点から日米間で「既定路線」として共有されていた事実が浮かび上がった。

年間延べ2000万人が利用する那覇空港は、運用の過密さと、陸・海・空・米軍が複雑に入り組む軍事的重みが伴う特殊な航空インフラとなっている。
筆者撮影
年間延べ2000万人が利用する那覇空港は、運用の過密さと、陸・海・空・米軍が複雑に入り組む軍事的重みが伴う特殊な航空インフラとなっている。

市民生活を支える公共インフラの軍事利用が住民の頭越しに進む事態は、決して那覇空港固有の問題ではない。

自衛隊や海上保安庁が平時から円滑に利用できるよう国と管理者が枠組みを設けた「特定利用空港・港湾」の指定に見られるように、生活基盤が国家の安全保障の論理に絡め取られていく構図は、全国的な課題となっている。

現在進行中の中東の紛争が証明するように、軍事利用の容認は防衛の盾どころか、真っ先に攻撃を呼び込む標的となるリスクを露わにしている。地方行政や地域住民にとっても、国家にただ従うだけではない、主体的な危機管理が問われている。

大国の論理に否応なく組み込まれる小国や一地方は、いかにして自らの生活基盤を守り、立ち回るべきなのか。その答えのヒントとなるのが、米トランプ大統領が国家による「購入」を公言した、北極圏に位置する世界最大の島、グリーンランドの事例だ。