ユニクロで事足りるようになった日本のアパレル業界
ユニクロが国内外で売上高を伸ばし続けている。もう限界だろうと思われていた国内でもついに売上高1兆円(25年8月期売上高1兆260億円)を超えてしまった。単独ブランドで国内売上高1兆円を超えたブランドはユニクロが初だ。他の大手ブランドと比べても国内ユニクロの売上高は10倍、20倍の大きさを誇っている。
かれこれ30年くらい繊維・衣料品業界に取材で携わっている筆者だが、思えば最近、カジュアル服の購入先がいつの間にか3ブランドほどに絞り込まれていることに気が付いた。
購入先はユニクロ、ジーユー、ワークマンで、その中でもとりわけ占有率が高いのがユニクロとジーユーだ。それ以外でいえば、無印良品がたまに入る程度である。ネット通販ではアンドエスティ(旧アダストリア)とアーバンリサーチの2つだけを利用している。もう5年以上、これら以外でカジュアル服を買っていない。
私は今年56歳になるロートルだが、周りを見渡しても、とりわけ40代以上の男性で似たような経験をしておられる方は多いのではないかと思う。
昔はライトオンやジーンズメイトから、オリヒカ、スーツカンパニー(現スーツスクエア)、メンズビギ、メンズメルローズ、コムサイムズ、ベネトン、GAPなど、もっといろいろなブランドで洋服を買っていた。
もちろん、心身の老化によるさまざまな意欲の低下・減退は大きい原因の一つだろう。しかし、それを抜きにしても先述した数ブランドで事足りると感じてしまうことが増えた。
肌着もジャケットもみんなユニクロ
自分の購買傾向を除いたとしても、年々ユニクロの占有率が高まっているように感じられてならない。特に2010年代以降その傾向は加速している感触がある。
保温肌着「ヒートテック」、吸水速乾肌着「エアリズム」あたりは国民服と言ってもいいほどに普及している。オンタイム用としては、感動ジャケット+感動パンツというセットアップを簡易スーツとして着用している中高年のビジネスマンが増加の一途を辿っている。夏場のカジュアルでいうなら、ユニクロUのエアリズムコットンオーバーサイズTシャツはアパレル業界・IT業界で制服といえるほど着用者が多い。
衣料品業界では毎日、数多くの新ブランドが立ち上がる。また近年ではDtoCへの注目から、インフルエンサーと呼ばれる人たちが続々と独自の新ブランドをスタートさせている。
それにもかかわらず、多くの新ブランドもインフルエンサーブランドもなかなかマス化するまでには成長しない。スタートから5年も経たずにブランドが廃止・休止になることも全く珍しくない。

