男は市役所で「覚悟しとけよ!」と叫んだ
2026年8月、札幌市役所を訪れた会社役員の男が、情報公開請求に関連して職員に「絶対辞めさせる! 覚悟しとけよ」などと大声を上げ、土下座を強要するという騒動があった。職員が土下座に応じなかったため、強要は未遂に終わったが、男は強要未遂容疑で逮捕された。ネット上では
「社会的な立場がある人間がすることじゃない!」
「職員の心身の安全を守るためにも逮捕されて当然!」
「法規制や条例制定による対策強化を急ぐべきだ!」
といった形で、容疑者に対する厳しい批判と、カスハラ対策の強化を求める声が多数上がっていた。
昨今、カスタマーハラスメント(カスハラ)にまつわる事件や報道が増加している。厚生労働省が2023~2024年に全国の企業・団体と、そこに勤務する労働者8000名を対象に実施した調査結果では、「過去3年間に相談が寄せられたハラスメント相談件数」においてカスハラ(顧客等からの著しい迷惑行為)の割合はパワハラ、セクハラに次いで高く、かつ「該当事案があった」と回答した企業割合はなんと86.8%にも上り、その件数についても「増加している」との回答割合が高い結果となった。
従業員は日々、消耗させられている
具体的な迷惑行為の内容としては「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム」、大声で責めるなどの「威圧的な言動」、「脅迫や侮辱、ひどい暴言などの精神的攻撃」が上位を占めた。
土下座強要のような目立つ事件はネット上でも話題になるが、日常的な応対の中で従業員を消耗させる行為は日々発生している。カスハラ問題はもはや対岸の火事ではなく、企業や自治体は利用者からの要求には真摯に対応しつつ、一方でカスハラから従業員と職員を守る姿勢が求められているのだ。
そしてこの10月1日から、カスハラ対策は事業主の義務となった。利用者の言い分を聞くことと、働く人を守ること。その両方を引き受けるために、企業や自治体はどのような心構えを持って臨めばよいのだろうか。



