「お客様は神様」を振りかざす客の誤解
元来、我が国では企業間のサービス競争が激しく、顧客を大切にもてなして満足度を向上させる姿勢が重視され、それが企業や店舗のブランド価値向上にも寄与した。したがって諸外国ならチップを弾まねばならないレベルの手厚いサービスも、我が国の利用客にとっては当たり前レベルとなり、それが客側の過剰な期待へと繋がってしまっていることは否めない。
この「日本式おもてなし」が、従業員に過剰労働を強いている問題についてはこれまでも解説してきた。
※参照記事
・悪質クレーマーは遠慮なく警察に通報するべき…従業員をカスハラから守るために活用すべき「7つの刑法」(2024/05/29)
・「笑顔で深々とお辞儀する店員」なんて客は求めてない…接客業を疲弊させる「日本式おもてなし」の罪(2024/09/07)
ちなみに、この「お客様は神様」というフレーズは、演歌歌手の三波春夫氏から発せられて有名になった言葉だが、この場合の「お客様」はあくまで聴衆のことであり、カスタマーやクライアントを指しているわけではない。「神」を自称し、サービスの要求水準ばかり厳しく、暴言や恫喝で相手を無理矢理動かそうとするような者は、神は神でもせいぜい「貧乏神」か「疫病神」といったところであろう。
※三波春夫オフィシャルサイト 「お客様は神様です」について
クレームを入れたつもりが「犯罪者」に
「クレーム」であれば、顧客は商品やサービスに対する不満点や改善点を指摘するが、問題が解決されれば納得し、以前以上に熱心なファンとなることもあり得る。
一方で「カスハラ」となると、たとえクレーム内容が妥当であっても、対応してくれる店員に対して暴言を吐いたり、脅迫したり、過剰な不当要求がなされたりするなど、限度を超えた行動が伴うことが多い。さらには商品やサービスに不備がなくとも、顧客個人の感情が暴走したり、歪んだ正義感が行動に繋がってしまったりすることもある。程度によっては、刑法犯に該当する行為にもなり得るのだ。

