胃に入れた栄養が逆流することも
後は栄養を点滴のようにしてチューブに入れて注入すればいいのですが、胃に入れた栄養が喉まで逆流してしまったときに、肺炎を起こすことがあります。咳をしても気管の痰や分泌物を出すことができない状態では、逆流した栄養が気管に入りやすいからです。だから胃ろう患者さんには吸引器がセットになることが多いのですが、吸引器があっても、すべての分泌物をスタッフが吸引することは不可能です。
実は誤嚥性肺炎にならないために胃ろうにした患者さんのほうが、誤嚥性肺炎になりやすいという考え方もあります。少なくとも「誤嚥性肺炎を起こしやすいから胃ろうにしましょう」という言葉は、胃ろう患者さんを多く診ている医師からは出てこない説明です。
胃ろうからの“自力で食事”は難しい
生きていてほしい。でも口から食べられなくなった状態で、胃ろうを入れてまで生きさせることはいいことなのだろうか――。
答えを出せないとき、家族の背中を押すのは「食べられるようになったら、チューブを抜けばいいんですよ」という医師のひと言かもしれません。このひと言で少し気持ちが楽になり、とりあえず胃ろうを造ることに同意したという話はよく聞きます。
医師の説明に間違いはありませんが、食べられるようになるためには、介護者による定期的できめ細かいリハビリが欠かせません。介護施設や療養型病院などに入っている場合、そこまで丁寧なケアをしてもらえるかどうか、確認しなくてはなりません。少なくとも受け入れ条件が「胃ろうを造ること」という施設では、再び口から食べられる可能性はゼロと言ってよいでしょう。
施設で寝たきりのまま生きながらえている姿を見ると、家族も苦悩します。
「これでよかったんだろうか。本人はこんなことを望んでいなかったのではないか……」

