時には「途中でやめることも必要」

日本老年医学会は、2012年1月28日に「胃ろう造設を含む経管栄養や、気管切開、人工呼吸器装着などの適応は、慎重に検討されるべきである。すなわち、何らかの治療が、患者本人の尊厳を損なったり苦痛を増大させたりする可能性があるときには、治療の差し控えや治療からの撤退も選択肢として考慮する必要がある」という「立場表明」を発表しています。

つまり、胃ろうや気管切開、人工呼吸器装着は安易にしてはいけない、場合によっては途中でやめることも必要だ、と言っています。これは大きな進歩です。病院側にも、無駄な延命治療に対する問題意識が広まっています。進歩的な医師であれば、「胃ろうを造りたくない」「無駄な延命は避けたい」という本人やご家族の立場を尊重してくれるかもしれません。

ただし、日本老年医学会の「立場表明」は、今のところなんの拘束力もありません。そのうち、施設や病院で幸せに死ねる時代が来るかもしれないし、来てほしいと思います。が、僕の感覚ではあと20年はかかりそうな気がします。

車椅子の患者
写真=iStock.com/Nikada
※写真はイメージです

なるべく胃ろうを避けるために…

胃ろうにしないためにも、僕は高齢になったら、安易に病院に行かないことをお勧めします。お年寄りが入院すると、体力、筋力、ものを飲み込む力があっという間に奪われてしまいます。お年寄りが入院させられる原因で、一番多いのは発熱です。介護施設でも熱が出るとすぐ入院になりますが、熱は入院させて抗生剤を使わなくても、時期が来れば自然に下がることが多いのです。

熱を下げる生命力があるから、ここまで生きているのです。その力を信じて「我慢」しましょう。一時的な発熱のために入院させて食べる機能を病院に差し出すなんて、バカバカしい話です。ここは家族の我慢のしどころです。

それから、本人が食べないときは「栄養のため」といって無理に食べさせないことも大切です。無理をさせずに食べさせていれば、誤嚥性肺炎になるリスクはかなり下がります。