身体に良いことより心に良いこと

【帯津】お年寄りはこれまで、人のため、家族のため、社会のために生きてきたんだから今後は自分のために時間を使う。もっと楽しんで、自分を慈しんでほしいですね。

和田秀樹『80歳の壁を超えた人たち』(幻冬舎新書)
和田秀樹『80歳の壁を超えた人たち』(幻冬舎新書)

【和田】僕の知人が82歳で肺ガンが見つかり医師から「もう手遅れだ」と言われたそうです。その人すごいヘビースモーカーなんですよ。余命宣告で相当ショックなのに、愉しみのタバコまで取り上げられて、すっかり意気消沈しちゃいましてね。

【帯津】そうですよね。

【和田】だけどある日、開き直って吸い出したんです。「俺はタバコのせいでガンになったのかもしれないけど、タバコのせいで進行するとは限らない」って。

【帯津】いいですね。

【和田】そしたら元気になって。結局タバコを吸い続け92歳で亡くなったんですけど。

【帯津】ほおー、大往生ですね。

【和田】ガンじゃなく、くも膜下出血で亡くなったんです。でも死因はなんであれ、人間はいつか必ず死にますからね。好きなタバコを吸って長生きしたんだから、満足だと思いますよ。

【帯津】ベッドの上で天井を見つめながら人生の幕を閉じるのではなく、元気なまま、ある日突然、コロリと逝ったんですからね。いいじゃないですか。

【和田】同感です。やっぱり、美味しいものを食べたり、楽しいことをしながら生きたいと、僕は思いますけどね。

【帯津】ガンの患者さんで「あそこの病院に行けば酒が飲めそうだ」ってうちの病院に移ってくる人がいるんですよ。

【和田】いいですね。

葬式の「飲みかけの焼酎」が教えてくれた

【帯津】ある作家の方でね、食道ガンがかなり進行して、他の病院から移ってきた方がいました。「先生お願いします」って言われて、この人飲みたいんだなとピンときた。で、焼酎を1本持っていったんですよ。そしたら嬉しそうに布団の中に隠してね(笑)。

【和田】いいですね(笑)。

【帯津】何日かしたら「先生もう飲んじゃったよ」って言うので、今度は「百年の孤独」という焼酎を持っていったの。喜びましたよ。だけど全部飲み終わらないうちに亡くなったんですね。そしたらなんと葬儀の時、お焼香台にその飲みかけの「百年の孤独」が立っていたそうです。

【和田】いい話ですね。この病気になったら終わりじゃなく、この病気でも残りの人生を楽しもうという生き方ですよね。人間ってやっぱり希望や喜びがあると、生きる気力みたいなのが出てきますからね。

【帯津】はい。私も前に和田先生から「糖が高いほうがいい」とか「コレステロールが高いほうが長生きする」って教わったでしょ。ああいう話は本当に嬉しいよね。心が明るくなって元気が出てきましたからね。

笑顔でグラスを持つシニアカップル
写真=iStock.com/Feverpitched
※写真はイメージです
【関連記事】
51歳で亡くなった夫の遺志継ぎ音楽家育成に献身…81歳声楽家が「死ぬまで文句を言い続ける」と決めているワケ
ギャンブルでも、旅行でも、美術品収集でもない…和田秀樹が手を出すなという「世の中で一番金のかかる趣味」
94歳、今も踊り続ける…「日本フラメンコ界の母」が20代の時にナイトクラブで見た忘れられない光景
血液をサラサラにし、骨のヨボヨボ化を防ぐ…大さじ1杯入れるだけで「納豆の真の力」が引き出せる液体の名前
パカッと開けて週に1、2個食べるだけ…がん専門医が勧める「大腸がんを予防するオメガ脂肪酸たっぷり食品」