台湾統一は中国の悲願だが、その代償は大きい。軍事ジャーナリストの宮田敦司氏は「軍事作戦としては史上最高難易度になる上、各国からの経済制裁による打撃は計り知れない。それでも諦められないのは、“統一”という物語を習近平が必要としているからだ」という――。

「最も重要な問題」と強調した習主席

2026年5月14日、約9年ぶりに中国を訪れたトランプ米大統領と、習近平国家主席による米中首脳会談が行われた。習主席はこの会談に際して、台湾問題を「最も重要な問題」と強調し、「この問題を適切に処理できなければ米中関係を危険な状態に追い込むことになる」と、米国の関与を強く牽制した。

北京の人民大会堂で歓迎式典に臨むトランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席=2026年5月14日
写真=共同通信社
北京の人民大会堂で歓迎式典に臨むトランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席=2026年5月14日

アメリカは台湾問題に対し、いわゆる「戦略的曖昧さ」を維持しながらも、軍事的プレゼンス維持は崩さない姿勢を見せてきた。台湾海峡では米海軍艦艇や哨戒機の通過が続き、日本、イギリス、オーストラリアといった同志国との合同訓練や情報共有も拡大傾向にある。

会談における習主席の発言は、中国にとって台湾問題が国家戦略そのものの中心にあることをあらためて示したものといえる。だが、仮に中国が台湾を軍事的に制圧できたとしても、国力の強化につながるとは言い難い。それどころか、新たな負担を生み出し、自国の首を絞めることになっていくだろう。