中高で触れる英語はわずか文庫本1冊程度
英語の学習にこれまで何度も挑戦してきたけれど、思うように身につかなかったという方は多いはずです。うまくいかなかったのは、学び方が「実用の力」を伸ばす方向とずれていただけです。やり方を少し変えれば、あなたの英語力は着実に伸びていきます。
私たちは学校で、英文を日本語に訳しながら読む「訳読」を中心に学んできました。わからない単語は辞書で調べ、文法を確認し、日本語として自然な表現になるように整える。こうした訓練は入試や定期試験で得点するには有効ですが、そこで身につくのは「英語を日本語に置き換える力」であって、「英語を英語として理解する力」とは性質が異なります。授業では、どうしても立ち止まる回数が増え、英語に触れる総量は伸びにくくなります。その結果、中学・高校の6年間で授業と教科書を通じて触れる英語の量は、10万語程度にとどまります。日本語でも、文庫本を1冊読んだだけで国語力が備わるわけではありません。
実際のコミュニケーションでは、日本語に訳している余裕はありません。相手の言葉を受け取り、流れの中で理解する力が求められます。英語を英語のまま処理できるようになること。私はこれを、脳内に新たに「英語の回路」をつくることだと考えています。
では、その回路はどうすればできるのか。必要なのは、圧倒的な「量」です。十分な英文に継続して触れるうちに、脳は自然と英語をそのまま処理するようになります。そのためには、まずは自分が無理なく読める、やさしい本から始めることです。8割ほどの内容が追えて、読み終えたあとに何が書いてあったかを言えたら十分です。わからない単語が出てきても、そのたびに立ち止まってはいけません。前後の文脈から見当をつけて、そのまま止まらずに読み進めます。
私は長年の指導経験から、英語力の伸びは「読書量×理解度の4乗」に比例する、という仮説を立てています。精読のように一文一文を分解し、語彙も文法も背景知識も噛み砕いて解説されれば、確かに理解度は高まります。しかし、それには時間がかかるので、読む英文量は大きく制限されてしまいます。ところが理解度が7〜8割でもかまわないと割り切ってどんどん読み進めれば、触れられる英文量は圧倒的に増えていきます。
個人差はありますが、私の経験上、累計約50万語を読んだあたりから多くの人に変化が表れています。無意識に日本語に置き換えていたのが、急に新しい回路が開通したように「訳さなくてもわかる」ようになるのです。
英語多読のよいところは、隙間時間でも量を積み上げられることです。電車の中や待ち時間など、短い時間でも前へ進めます。誰かと競う必要もありません。自分のペースで、自分が面白いと思える本を選び、楽しみながら量を増やしていけばいいのです。もちろん時間はかかります。仕事を持つビジネスパーソンなら、50万語に届くまでに1年ほどかかると見ておいたほうがよいでしょう。それでも、時間さえかければ成果は十分に手に入ります。
つまらない本は読むのをやめていい
英語は量が大切だとお話ししましたが、やみくもに読めばよいわけではありません。読み方を間違えれば、時間をかけても思うような成果につながらないこともあります。そこで私が提案しているのが「多読三原則」です。
①辞書はできるだけ使わない
推測力を養い英語の語順で理解する
②わからないところは飛ばす
わかったところをつなげて解釈する
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