記憶を定着させるには、どのような勉強の仕方をするといいか。スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長の星友啓さんは「教科書の『読み直し』は最も時間対効果が低くなりがちな勉強法の一つだ。頭に情報を入れている時に、脳が記憶を定着させるための『保存ボタン』は押されていない」という――。
※本稿は、星友啓『スタンフォード大学オンライン高校の校長が教える 世界の研究に基づいた 勉強法大全』(KADOKAWA)を再編集したものです。
「一夜漬け」が必ず失敗する科学的理由
「テスト前日に徹夜で詰め込めば、なんとかなる」。そう考えて朝まで勉強した経験は誰にでもあるでしょう。確かに翌日のテストは乗り切れるかもしれません。しかし、その知識は1週間後や1カ月後にはきれいに消え去っています。
受験勉強や資格試験のような長期戦で勝つには、「スペーシング」が不可欠です。
スペーシングとは、一旦学んだら少し時間(スペース)を空けて思い出す勉強法のこと。
この勉強は、学んだことを短期間で繰り返し思い出す方法よりも、記憶の定着率がバツグンに高まります。
実際に、これまでの研究で、復習までの間隔が記憶の保持期間に大きく影響することが繰り返し示されました。
脳の中で情報を伝える「神経細胞(ニューロン)」同士のつながりが太くなり、安定するまでには物理的な時間が必要です。
一夜漬けのように短期間で情報を詰め込もうとすると、情報のつなぎ目である「シナプス」の受け入れ容量がいっぱいになってしまいます。そこに新しい情報が入ってきても、古い情報を上書きして消してしまうだけで、一旦学んだものが「自分のもの」として脳に深く刻まれることはありません。

