なぜ社会人が続けるには「海外ドラマ」が最適か
日本では「英語は、単語と文法が完璧なら話せるようになる」と信じられています。そして、多くの人が「自分が話せないのは単語力が足りず、文法の基礎があいまいだからだ」と考えて、中学英語からやり直そうとします。ですが、その方法では実践的な会話に届きません。単語と文法を頭の中で組み立ててから口にする形では、反応のスピードが追いつかないからです。
必要なのは、フレーズをかたまりで覚えておくことです。状況に応じて「この場面で使うべきはあのフレーズだ」と瞬時に判断し、口にする。英語に限らず言語は「真似る」ことで身につきます。私たちが日本語を話せるようになった過程も同じで、周囲の大人たちが話しかけたり、会話していたやり取りを聞いたりしながら覚え、口に出すことで使い慣れていきます。つまり、会話とは頭の中の引き出しから状況に合う表現を選び出す作業なのです。
とはいえ、中学高校で学んだ英語が無駄になるわけではありません。単語や文法の基礎は、すでに多くの人の中にあります。受験英語を経験した人に、まったくの初心者はほとんどいないはずです。主語が来て動詞が続く語順の感覚、基本的な単語、文の形は記憶に残っているでしょう。それならば、話すための土台としては十分です。英語に再チャレンジするなら、土台の上に積み上げる工程へ進むべきです。
大人の英語学習で抜け落ちやすいのが、大量の「インプット」です。受験英語で土台となる単語と文法を学んだのだから、話せないのはアウトプットが足りないからだと考えて英会話に手をつけ、真ん中のインプットを飛ばしてしまう。引き出しの中身が十分でないまま英会話レッスンを重ねても、状況に応じた適切な言葉は出てきません。
英語吹き替え版で日本アニメを見るといい
では、何をインプットすればよいのか。私は、「海外ドラマ」が最適だと考えています。ネイティブが日常的に触れている英語に、そのまま浸れるからです。会話の流れ、感情の起伏、登場人物の関係性や性格が見えるため、フレーズが文脈と結びついて記憶に刻まれます。気に入ったドラマなら続きが気になり、「勉強するぞ」と構えなくても自然と英語に触れる時間が延びていきます。忙しい社会人が続けるには、楽しめる要素が欠かせません。
英語のフレーズを音声で大量にインプットすることを「多聴」と言います。これは、いわゆる聞き流しではありません。わからない英語音声をぼんやり聞いていても、雑音やBGMのように流れ去っていくだけで、記憶に残りません。逆に一言一句を聞き漏らさず、すべてを理解しようとするのも違います。ドラマのストーリーを大枠で掴みながら、耳に入れるのです。
海外ドラマは「日本語吹き替え版」「日本語字幕表示」ではなく、オリジナル音声に「英語字幕表示」で見てください。英語字幕を目で追いながら音声を聞くことで、目と耳、つまりスペルと音が結びつき、リスニングが向上します。こうした大量のインプットは、英語の聞き取り能力だけでなく、英語を英語のままに理解する言語処理能力にも効いていきます。
学習の進め方はシンプルです。まず、オリジナル音声と英語字幕で作品を見ます。このとき、わからない単語やフレーズがいくつも出てきますが、そのたびに一時停止して調べてはいけません。細部にこだわらずストーリーを追って、楽しむことを最優先にしてください。理解度は7〜8割で十分です。
ただし、頻出の場合は知らないままだとストーリーの理解に支障が出るため、例外として調べても構いません。英語字幕だと話の筋が追えず楽しめないと感じる場合には、先に日本語字幕で見てストーリーを頭に入れてから、再度英語字幕で見る二度見も有効です。
できれば、気になった1文を声に出してみるといいでしょう。わからない単語をすべて確認したり、長文を暗記してみたりしようとすると、時間も労力もかかり、継続しません。毎日1文を確認するだけでも、1カ月で30個の文章がインプットされるので十分です。
ここから先は有料会員限定です。
登録すると今すぐ全文と関連記事が読めます。
- 広告最小化で快適な閲覧
- 雑誌『プレジデント』が最新号から読み放題
- ビジネスに役立つ学びの動画が見放題
- 会員限定オンラインイベント




