同じ仕事でもイキイキと働ける人とそうではない人がいるのはなぜか。外資系産業医として1万人以上と面談をしてきた武神健之さんは「メンタルを消耗せずに仕事の能力を伸ばせる人は、3つの要素において、消耗しにくい思考回路を持っていると感じる」という――。
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同じ状況でもメンタルを消耗しない人がいる

こんにちは。産業医の武神です。

長年産業医面談をしていて、不思議に思うことがあります。同じ会社で同じ部署に配属され、同じような業務(量)をこなしていても、メンタルを崩して長期の休職に至る人もいれば、しんどい状況の中でも踏みとどまり、むしろその経験を糧にして伸びていく人もいます。何が違うのでしょうか。

私が思うにこれは、同じ状況の中で、どのような視点を持つかによる“メンタルを消耗するか否か”の違いです。

今月は、経験を成長の糧に変えられる人と消耗してしまう人の違いについて、産業医の私が感じる点を3つ考えてみました。

40代女性の「心が折れた感じ」

①他責か、自責か

数年前に産業医面談に来たのは、入社してまだ5カ月の40代女性Aさんでした。面談の理由は、最近会社のビルに入る際に強い動悸を感じることが数回あったからでした。話を聞くと、食事や睡眠には大きな問題はありませんでしたが、仕事に対しては、急に心が折れた感じがしているとのことでした。

「この会社はどうですか」と尋ねると、Aさんは「雰囲気があまり好きではありません。とても排他的で、自分が歓迎されていないように感じます」とのことでした。彼女の部署は長年勤めている社員が多く、そう感じてしまうのも無理はないだろうと、私も思いました。

しかし、気になったのはその後の言葉でした。「上司の指示が曖昧なのに、自分がその通りに動くと、指示を明確にしないほうが悪いのに厳しい評価が返ってくる」「同僚に質問しても面倒くさそうな顔をされ、入社したばかりなのだから全部教えてくれてもいいのに、いつも聞いたことの一部しか教えてもらえない」「このような環境では自分の実力は発揮できない」――そう続けたのです。

「上司に相談してみてはどうですか」と提案すると、Aさんは、相談しても「新人がうるさいことを言っている」としか受け取られず、評価がさらに下がるだけだと思うので、相談することはできないと答えました。