睡眠は健康にどんな影響を与えるのか。東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授は「ストレスがかかった脳を一度リセットし、リフレッシュする働きがある。睡眠不足だと脳がリセットされず萎縮を進めてしまうが、逆に寝すぎると睡眠の質が下がるというデメリットがある」という――。
※本稿は、瀧靖之『「中年の壁」を乗り越える最良の方法』(宝島社)の一部を再編集したものです。
「いらない記憶」はレム睡眠中に消去
睡眠は、体の健康を保つために必要ですが、心の健康を保つためにも頼もしい力を発揮します。ネガティブな感情を整理し、明日への活力を生み出してくれるのです。
例えば仕事で大きなミスをしてしまったとします。「すべて自分の責任だ」「信用をなくす」「上司に顔向けできない」、さまざまな思いが頭に渦巻き、自分を消し去ってしまいたくなります。ところが眠ることによって、この感情は整理されます。
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、これが交互に繰り返されます。ノンレム睡眠中には海馬が覚えておくべきと判断した記憶だけが、長期記憶として保存されます。一方、不要と判断した記憶は消去されます。また、レム睡眠中には情報が整理され、事実とネガティブな感情とが分離されます。
前日の夜にふと思い出してしまった不安が、朝になると大したことではなかったように感じた経験はありませんか? 眠ることで脳が整理されて、的確な対処ができるようになるのです。
つまり、完全にではありませんが、“寝れば忘れる”は本当だったというわけです。

