スマホの使い方までサポートしてくれる
一般的に、有料老人ホームは居住とサービスを受ける権利が一体となった「終身利用権」であり、多額の一時入居金を払ってもその権利自体を売買したり相続したりすることはできない。
二の足をふむ高齢者も多い中、区分所有権を取得することができる「シニア向け分譲マンション」もじわりと広がっている。この分野で先頭を走るのが、中堅デベロッパーのフージャースコーポレーションだ。
同社のシニア向け分譲マンション「デュオセーヌ」は数人のスタッフが24時間常駐し、タクシー手配からスマートフォンの使い方まで日常の困りごとを解決する。日中は看護師資格の保有者も勤務しており、医療面の相談にも対応できる。
「7000万円出して買った物件に10年住んで、(介護施設への引っ越しや相続後に)6000万円で売ったら結局1000万円で住めた、という資産性の観点からの価値を提示している」と同社の生川正雄常務は話す。終の棲家にも資産性を求める人々のニーズを捉え、首都圏で事業を拡大している。
「駅近じゃない立地」の需要を発掘
高齢者向けの物件が広がる背景には、マンションに適した用地が少なくなっているという事情もある。冒頭の西麻布の物件は東京メトロ広尾駅や六本木駅から徒歩10分以上かかり、オフィスや分譲マンションの開発には不向きな立地だった。
「駅近」が好まれる分譲マンションに比べて老人ホームの入居者は通勤や通学がない。そのため、交通アクセスが多少不便な立地でも物件を開発しやすい。
日本の人口動態の大きなボリュームを占める団塊の世代の全員が75歳以上の後期高齢者となり、日本の高齢化は加速している。
都市部を中心に、包括ケア型の高齢者住宅や施設は需給の逼迫が表面化しており、今後はサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム、シニア向け分譲マンションなどが受け皿を担うことが見込まれる。生活に余裕があるシニアを狙った商品は、今後も着実に増えそうだ。
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